小結若隆景(31=荒汐)が、3年2カ月ぶり2度目となる優勝の可能性を残した。平幕の琴栄峰を下し、3敗を守った。単独トップだった大関霧島が敗れたことで、11勝3敗で並んだ。10勝4敗で5人が追っており、1差に7人がひしめく大混戦にもつれ込んだ。
◇ ◇ ◇
立ち合いで右のほおを張られたが、出足は止まらない。若隆景は得意の低い姿勢から、一気に前に出た。反撃を許さず、11勝目を挙げた。「下から速い相撲だったんじゃないかとと思います。しっかり集中して土俵に上がりました」。3敗同士の対決にも「特に。自分の相撲に集中しました」と振り返った。
取組後、風呂から上がり、東の支度部屋でまげを結い直してもらっている時に、結びの一番が始まった。顔を少し上げ、モニターに視線を送った。霧島が敗れ、3敗で並んだ。表情は少しも緩まないまま、千秋楽に心を向けた。
幕内後半の九重審判長(元大関千代大海)は「すごいですね。エンジンが全開。寄せ付けない集中力、気迫を感じました」と絶賛し、琴栄峰の張り手には「小細工は通用しない。(若隆景の)経験がモノを言った」と評価した。
若隆景には優勝の経験がある。27歳だった2022年春場所、関脇で初優勝した。あれから4年2カ月。2度目の優勝を果たせば、琴錦の43場所、照ノ富士の30場所に次いで史上3位となる25場所ぶりの長期ブランク優勝になる。
小結で11勝を挙げ、すでに大関とりへの起点に立ったと言っていい。さらに白星を積み上げれば、大きなアピールになる。千秋楽へ向け「あと1番、またしっかり自分らしい相撲を取っていきたい」と言った。まずは「あと1番」。優勝決定戦は意識せず、本割に集中していく。【佐々木一郎】
∇八角理事長(元横綱北勝海) 上位陣がいないとこういうことになる。3敗の2人がともに勝って、優勝決定戦になればいいのだけれど…。霧島は一枚まわしで力が伝わらなかった。若隆景は流れがいい。もう一番を貪欲にいってほしい。

