日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で理事会を開いて理事長を互選し、八角理事長(54=元横綱北勝海)の続投を決めた。

 新理事会に先立って行われた評議員会で選任された親方の理事10人、外部理事3人が協議し、満場一致で決定。任期は1期2年。八角理事長は元横綱日馬富士関による暴行事件、春場所中日に起きた十両貴公俊による付け人への暴力など、相次ぐ暴力問題の根絶を第1課題として取り組むと所信表明。貴乃花親方(元横綱)は2月の理事候補選挙で落選したため、今回は理事長選に名乗りを上げることはできなかった。

 新任の3人を含む、10人の親方衆らによる新理事会は、わずか15分程度で終了した。鏡山理事(元関脇多賀竜)から推薦を受けた八角理事長の続投が、満場一致で決まった。北の湖前理事長が在職中に死去。15年12月の就任から3選となった。元横綱日馬富士関の傷害事件など、昨秋以降は不祥事が続発する中での新体制発足となった。

 所信表明の場となった会見では「まずは暴力問題の根絶に取り組むことが第1課題」と断言した。再発防止に向けて研修会を開き、2月に立ち上げた再発防止検討委員会が900人余りの協会員全員からの聞き取りを開始。すでに半数ほど進んでおり、有言実行の姿勢を貫く。

 一方で春場所では貴公俊による、支度部屋での付け人への暴力が発覚。八角理事長は「本当に申し訳なく思っております」と謝罪した。師匠の貴乃花親方の監督責任が問われているが、理事長はその親方衆を取りまとめる立場だけに、責任を感じていた。この問題を契機に沈静化した貴乃花親方について、親方衆からは29日の理事会で、降格を含めた厳罰を求める意見がある。知名度抜群の人気親方だけに、難しいかじ取りが迫られそうだ。

 「100年先も相撲を残していく」という伝統を守りながらも「改革を進めていく」と、時代の流れにも敏感に対応する決意だ。この約5カ月間、暴力が影を潜めることのなかった相撲界。「問題を1つずつ解決していくのが私の役目」。相撲と暴力を切り離さない限り、100年先に相撲界はないという、決意を表明した続投決定だった。【高田文太】