大相撲の春巡業は27日、埼玉県越谷市で最終日が行われ、取組前の稽古では、横綱白鵬(33=宮城野)が前頭阿炎を12勝1敗と圧倒した。

 白鵬が稽古で相撲を取るのは今回の巡業中では初めてで、全休した3月の春場所前以来、約1カ月半ぶり。自身初の2場所連続休場中だが、その間に新入幕から2場所連続で10勝を挙げている新鋭を豪快な投げなどで寄せ付けなかった。

 阿炎が越谷市出身とあって、母校の小学生が団体で駆け付け、途中、大音量の「阿炎コール」がわき起こると、白鵬は思わず苦笑いを浮かべて一呼吸置くなど、やりづらそうな場面もあった。そんな中で1敗こそしたが「積み重ねがあるから、それなりにできたと思う。無理に、あれしよう、これしようというのではなく」と、自然体で取っての完勝続きに、好感触の様子だった。

 白鵬は持ち前の鋭い踏み込みを封印し、立ち合いではことごとく胸を出して受けて立った。一方、立ち合いから得意の突き、押しを繰り出しながらも簡単に投げられ続けた阿炎は「手加減されている感じが尋常じゃなかった」と、実力差を痛感していた。

 夏場所(5月13日初日、両国国技館)では対戦の可能性が高いが、阿炎は「勝てるイメージがない。でも、もちろん向かっていく気持ちで(白星は)狙っていく。三賞も狙って、怖がらずにいきます」と、新入幕から3場所連続2ケタ白星に意欲を見せていた。【高田文太】