東前頭6枚目の遠藤(27=追手風)が、幕内では初めて初日から3連勝を飾った。千代翔馬の立ち合い変化にも動じず切り返し。無傷の3連勝は、新十両の13年名古屋場所以来、5年ぶり2度目となった。新小結だった5月の夏場所では、右上腕二頭筋遠位部断裂で途中休場するなど3勝10敗2休。今場所は番付を落としたが、三役を経験して一皮むけた姿を見せている。

 三役のカベを1度越えた経験が、遠藤に余裕をもたらした。1度つっかけた後の2度目の立ち合いで、千代翔馬に右に変化された。だが慌てずにつかまえ、左足を相手の右膝裏にあてがい、ひねり倒した。遠藤にとって珍しい「切り返し」は13年九州場所の天鎧鵬戦以来、約5年ぶり2度目。初日からの3連勝は幕内では初めてだった。好発進に「いいんじゃないですか」と納得の様子。「しっかり反応できたのでよかった」と、自信を深めていた。

 審判長として土俵下から見ていた藤島親方(元大関武双山)は「人気先行から実力もついてきている。もっともっと化けてもらわないと。早く三役に復帰して活躍してもらいたい」と、評価。一段と声援も大きくなり、遠藤も「しっかりと声援に応えようという気持ちになるし、力が入るし、ありがたい」と感謝した。

 東西の前頭筆頭4度目の挑戦の末、先場所で新三役となった。だが先場所6日目に右肘に近い筋肉を断裂。10日目から再出場したが6連敗で、白星は積み重ねられなかった。それでも気落ちせず、毎日同じことを繰り返した。この日の朝稽古も、てっぽうを100回ぴったり打ち込み、立ち合いの確認。暑さ対策を問われても「食って、寝る」と、春夏秋冬変わらぬ回答。裏を返せば、変わらない日常を繰り返した先に結果が伴ってくる自信がある。幕内通算200勝にも王手をかけ、自信と連勝を伸ばす要素はさらに増えていく。【高田文太】