日本相撲協会が発表した「力士の暴力に対する処分基準」などを受けて、制定から一夜明けた20日、白鵬(33=宮城野)と鶴竜(33=井筒)の両横綱が、それぞれの見解を語った。巡業先の埼玉・熊谷市で報道陣に対応。処分基準では、横綱が暴力を振るった場合は「引退勧告以上」と、特に厳しくなると明記されている。白鵬は「横綱の責任がある。3横綱いますから、先輩横綱として引っ張っていきたい」と、冬巡業全休の稀勢の里を含め、現役3横綱の中でも、特に重い責任を背負う覚悟を語った。

右足首の負傷で11月の九州場所を全休、冬巡業もこの日から合流となった鶴竜は「(基準が)出てよかった。どういう処分が出るか明確にした方がいいと思っていたから」と歓迎した。「部屋によって教えは違うが、この問題だけは全員同じ考えを持つ必要がある」と、力士会会長として、基準の明文化が、暴力の抑止力になることを願った。

この日の朝稽古で白鵬は約7分間、大関栃ノ心に胸を出した。「かわいがり」と呼ばれるぶつかり稽古で、栃ノ心は泥まみれになったが「気持ちよかった」と感謝した。鶴竜は「厳しい稽古は変えてはいけない。この世界のルールはこうなんだというのも見せないといけない」と代弁。暴力とは別物と強調するように、この日の稽古は一段と活気づいていた。【高田文太】