大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が14日に初日を迎える大相撲春場所(東京・両国国技館)を休場することが11日、分かった。報道陣の電話取材に応じた、師匠の陸奥親方(元大関霧島)が明かした。陸奥親方によると、9日の稽古中に左足太ももを負傷。5場所連続休場となるが、鶴竜は現役続行の意志を強く示していることも明かした。

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背水の陣で春場所に挑むはずだった鶴竜が、無念の休場となった。同場所の取組編成会議を翌日に控えたこの日、師匠の陸奥親方は「今場所は出ないということで決まりました」と明かした。9日の稽古中に、左足太ももを肉離れしたと説明。「音がしたらしいですよ。『バン』って。僕は気付かなかったけど、痛みは本人にしか分からないから」。この日に鶴竜と直接話し合い、春場所の休場を決めたという。

昨年の11月場所後に開催された横綱審議委員会(横審)の定例会では休場の多さを指摘され、「注意」の決議を下されていた。しかし、1月の初場所は腰痛を理由に休場。春場所では、進退を懸けて臨む覚悟を示していた。陸奥親方は鶴竜に対して「辞めるという選択もある」と言ったという。それでも「まだ気持ちは切れていないので次取りたい、と本人から聞いた。まだやりたい気持ちが強かった」と、鶴竜は現役続行の意志を強く示したという。

5場所連続休場となれば、春場所後に開催予定の横綱審議委員会の定例会で、厳しい意見が出る可能性は高い。そのことについて「それはもう覚悟しています」と語気を強めた。万が一、「引退勧告」が決議された場合は「それを聞いてから本人と話をしないといけないと思っている」と進退について再度、話し合うとした。

現在は四股を踏めていないが、肉離れの症状は重くないという。陸奥親方は鶴竜の状況について「治るにも長引かないと思う。体は全然落ちていないし、気持ちも全然切れていない。1、2週間の内には万全な形になって体を動かし始めると思う」と説明した。もう1度本土俵に上がることを信じ、鶴竜は今できることに専念する。【佐々木隆史】