大関復帰に挑戦する関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、昇進目安の「三役で3場所33勝」に“王手”をかけた。関脇隆の勝を寄り切って連敗を阻止。勝ち越しを決めて、直近3場所で32勝とした。この日、同じモンゴル出身の横綱鶴竜が引退。感謝の思いと、次世代の看板力士としての責任感を口にした。後続に2差つけて首位を走っていた小結高安が2敗目。大関朝乃山ら3人の3敗勢が追う。

   ◇   ◇   ◇

照ノ富士が無心で仕掛けた。隆の勝の右をたぐって左に回り込むと、左上手を取って一気に寄り切った。今場所は相手の腕を引っ張り込む相撲が目立っていたものの、大関昇進目安に王手が懸かる一番で立ち合いを工夫。「狙ってはない。たまたまそういう形になった」。過去2戦2敗と合い口の悪い相手を前に、勝利への執念がとっさの反応に表れた。

大関復帰を懸けた場所で、早くも看板力士の自覚をにじませる。同じモンゴル出身の鶴竜が引退。「新弟子の頃からかわいがっていただいた。昔から尊敬していた横綱。最後にもう1度相撲を取りたかった」と残念がる。次世代の角界を引っ張る立場として「寂しいけど、次の世代の自分らが頑張らないといけない」。昇進目安まであと1勝。トップの高安とは1差になり、大関復帰と賜杯の両取りも見えてきた。