文句の付けようのない逸ノ城の完璧な相撲でした。まず立ってすぐの左上手が早かった。取った位置もいい。引きつけただけで照ノ富士の腰が浮きました。その後もすぐ前に出て引きつけながら左から出し投げを打って、横綱の体勢をさらに崩しました。もろ差しになられたことで、照ノ富士も強引に引っ張り込むしかなく、きめることで逸ノ城の心を揺さぶろうとしたのでしょう。ただ他の力士相手ならまだしも、あの大きな相手にそれは無理です。あとは体を寄せるだけでした。上手を取るのが遅かったら、逸ノ城もその後の攻めも、ちゅうちょしていたでしょう。立ち合いの一瞬で左上手を取れたことと、その後も休まず攻めたことが勝因です。逸ノ城の良さばかりが出た一番で、さすがの横綱もこの相撲を取られたら仕方ありません。
5連勝で単独トップですが、このまま走るかどうかは分かりません。体が大きいのは有利ですが同時に、体力の消耗にもつながります。もともと後半戦は疲れが出るのか尻すぼみになる印象もあります。細かい相撲を取る相手に、怖がって止まるようになれば受け身になってしまうのもポイントです。決して調子の悪くない横綱に勝ったことを自信に、前に出られれば自ずと結果は出るでしょう。(日刊スポーツ評論家)

