大相撲ファン待望の巡業が再開した。5日、東京・立川市で夏巡業がスタート。コロナ禍前の19年12月の冬巡業以来、約2年8カ月ぶりの開催となった。稽古中の土俵下ではマスク着用が必須など、徹底した感染対策を実施。横綱昇進後としては初参加となった照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が、綱締め実演や横綱土俵入りなどで会場を盛り上げた。

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コロナ禍で初めて実施された夏巡業。3500人が入る会場の立川立飛アリーナに、約2200人の相撲ファンが集まった。間近で見る関取衆らによる稽古に、定番の相撲甚句や初っ切りなど、本場所とはまたひと味違う力士らの姿にファンは大にぎわいだった。横綱昇進後、初参加となった照ノ富士は「やっぱりファンがいての大相撲。協会員の1人としてその責任を果たすため、自分も楽しめるように巡業を頑張っていきたい」と意気込んだ。

もっとも、コロナ禍前と、風景は違う。稽古は1組6人を最大とし、組ごとに分けて稽古。次の番の組は土俵下で四股などの準備運動をするがマスク着用が必須だ。握手会や赤ちゃん抱っこなどの接触型のファンサービスも実施せず、代わりに写真撮影会が行われた。入間川巡業副部長(元関脇栃司)は「巡業の楽しみは本場所ではない距離感なので非常に心苦しい。それでもできる限り感染対策をとってファンのみなさんに喜んでもらいたい」と語った。

立川市巡業を皮切りに、首都圏で計5日間行われる夏巡業。本来は十両以上の関取衆が参加も、今巡業は原則、幕内力士だけにするなど参加者を減らしての開催となった。この日も自身が感染したり濃厚接触者扱いになるなどして、ケガ人1人を含む計13人の幕内力士が休場。それでも照ノ富士は「開催できたことが1つでも2つでも前に進んでいると思う」と意義を強調した。感染対策に細心の注意を払いながら、残り4日間に臨む。【佐々木隆史】

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