初優勝した先場所の勢いそのままに、逸ノ城がさらに自信をつけて強さを見せつけました。貴景勝の当たりも受け止め、落ち着いて前に出ました。あの体で腰を落とされてはたまりません。貴景勝は仕切る時の呼吸の仕方から体調が良くないのかなと思いましたが、それを差し引いても逸ノ城の一人相撲でした。とにかく前に出ること。それも、つま先で相撲を取れれば怖い物なしです。かかと重心になると自分の体が軽くなってしまい付け込まれますが、つま先で取れば足に力が入り、あの重さを生かせます。その相撲を先場所から取れています。

新入幕だったちょうど8年前の秋場所で13勝して、横綱初挑戦で金星も奪い、このまま新入幕優勝してしまうのではと思いながら、あの時は見てました。以後は幕内上位と下位を行ったり来たりでしたが、調子さえ戻せば強い力士です。注意するのはケガで、大切なのは気持ちの問題。豊昇龍戦や霧馬山戦のように、相手によって気弱になるような相撲が見受けられましたが、今のまま怖がらずに行けば問題ありません。小結に上がったことで前半戦に上位と当たることも、今の逸ノ城にはプラスになるでしょう。(日刊スポーツ評論家)