大関経験者で西十両12枚目の朝乃山(28=高砂)が初黒星を喫し、連勝が10でストップした。

西十両6枚目の大翔鵬(28=追手風)に寄り切りで敗れ、10勝1敗に後退し、「今日は硬かった。僕の弱さが出た」と悔しさをかみしめた。

狙い通り左の上手を取るも大翔鵬に切られ、右差しを許した。防戦に回り土俵際まで押し込まれ、あえなく寄り切られた。「相手に合わせたかんじで上体が高かった。自分から何か仕掛けていかなきゃいけなかった」。20年1月18日に亡くなった近大相撲部時代の恩師の伊東勝人氏の命日。白星で飾ることができず「悔しいです」とうつむいた。続けて「命日に限らず白星を届けることが恩返しになる。15日間良い相撲を取り続けたい」と誓った。

朝乃山は初日に貴健斗(常盤山)を下し、関取として599日ぶりの白星を挙げた。大関だった21年5月19日の夏場所11日目(隆の勝をすくい投げで退けた)以来となる勝利で、再十両を果たした場所で好スタートを切った。

勢いそのままに白星を重ねて序盤戦5戦全勝で終え、中盤戦に入った6日目に狼雅(二子山)を退けて単独トップに。7日目に島津海(放駒)、8日目に豪ノ山(武隈)を撃破し、十両復帰場所で初日から負けなしの8連勝とし、大関だった20年7月場所以来となる3度目のストレート給金を達成。十両で勝ち越すのは17年7月の名古屋場所以来、約5年半ぶり。さらに9日目に北の若(八角)、10日目に東白龍(玉ノ井)の負けなしの10連勝としていた。

「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」との気持ちを持ちながら土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての実力を見せつけていた。全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。この敗戦を引きずらず、いまだ手にしていない十両優勝へ白星を積み重ねたいところだ。

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