大相撲平幕の阿武咲(26=阿武松)が、初場所での悔しさをバネに初優勝への決意を示した。21日、千葉・習志野市内にある部屋で稽古し、順調な仕上がりをみせた。春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)での目標は、1月の初場所で逃した賜杯を抱くことを目指すと誓い、「そこ(優勝)の景色は、やっている以上見たいです」と意欲満々だった。

この日の申し合い稽古では持ち味の力強い押し相撲を見せつけ、幕下以下の力士たちを相手に15戦全勝と圧倒。このうち学生横綱で同部屋研修生のバトジャルガル・チョイジルスレンとの3番も難なく勝ち、幕下15枚目格付け出し資格を得た期待の若手を全く寄せ付けなかった。阿武咲は「感覚も良かった。ここからペースを上げて仕上げていきたい」と充実した表情を見せた。

先場所は12日目に玉鷲を下して単独トップに立ちながら、そこから星を伸ばせなかった。13日目に大関貴景勝、14日目に小結霧馬山に連敗し、初優勝の夢はついえた。千秋楽の豊昇龍戦ではまげをつかんで反則負けを喫し、終わってみれば10勝5敗。「(先場所は)勝っているときは自分の相撲が取れたけど、負けた相撲は精神面の未熟さや自分の甘さが出ました」。手応えと課題が見えた。

初優勝を手にするために、終盤戦にかけて高まるプレッシャーをどう克服するかが鍵となる。「優勝するには、15日間同じ気持ちで相撲を取るのが大事になると感じました」。大きな学びを得た初場所。つかんだ経験を、迫る春場所にぶつける。【平山連】