大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)で新十両に昇進する大の里(23=二所ノ関)が25日、出身の石川・津幡町で行われた「十両昇進報告会」で、町民ら集まった約600人から祝福された。報告会では花束や、部屋に対して米10俵(約600キロ)が贈呈されるなど、大の里は終始笑顔。壇上で「十両に昇進することができてホッとしていますし、うれしい気持ちでいっぱいです」などとあいさつすると、盛大な拍手が起き、さらに表情を緩めていた。

日体大では2年連続でアマチュア横綱に輝き、幕下10枚目格付け出しとして、5月の夏場所で初土俵を踏んだ。夏場所では6勝1敗と好成績を残したが、7月の名古屋場所は3勝3敗からの七番相撲で際どく勝ち越した。それだけに「最後の1番で勝てていなかったら、このような場は設けられていませんでしたし、最後の一番、勝てたので地元に帰ってくることができましたし、津幡に皆さんにいい報告ができたと思います」と、新十両を勝ち取った喜びを、あらためて語った。

今回の帰省は、翌26日に隣接する金沢市で行われる夏巡業に参加するため。この日の午前11時まで、原則として新弟子が半年間通う両国国技館内の相撲教習所で授業を受けてから、駆けつけた。同席した師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は、壇上で「厳しく、厳しく、さらに厳しく鍛えていきたい」と宣言。猛稽古で横綱に上り詰めた師匠からの、期待の裏返しでもある言葉に、地元住民は大いに湧いた。

最後は、参加者一人一人を、言葉や握手を交わすなどして見送った。「こんなに人が集まると思っていなくて、ステージを見た瞬間、ビックリしました。言葉を失いました。話そうと思っていたことが、頭が真っ白になりました」と、熱気に驚いたという。名古屋場所ではギリギリの勝ち越しだっただけに「次は安心させられるような相撲を取りたい」と、成長した姿を見せることを約束していた。