白熊だけじゃありません-。西序二段50枚目の黒熊(くろかげ、26=宮城野)が、長い相撲を制して白星発進した。一番相撲で若大根原との攻防の末、自然界最強生物ともいわれる熊をほうふつとされる182センチ、154キロの恵まれた体を生かして寄り切った。「疲れました」と額に汗をにじませながら、「急いで出ると負けるのでゆっくりといきました」と納得の表情で振り返った。

今場所から「熊」をしこ名に付けた力士が増えた。本名の高橋から改名した西十両6枚目の白熊(しろくま、24=二所ノ関)だ。新年を迎えるにあたり、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から、福島県出身の色白の肌、気は優しくて力持ちという、力士を象徴する人間性から、ファンに親しみを持ってもらえるよう「白熊」に改名。インパクトの大きいその名前の反響は、黒熊にも届いた。

黒熊 最初は全く気にしていなかったけど、「白熊が出てきたぞ!」とめっちゃ言われます(汗)

しこ名の名付け親は所属宮城野部屋のマネジャー。北海道・砂川市生まれで色黒なことから、どことなく熊をほうふとさせる姿が由来となった。あえて「くま」ではなく「かげ」との呼び名にしたのは、かつて熊を後者で呼ぶことが多かったから、という粋な考えからだ。「でも、『くろかげ』と呼ばれることはほとんどなく、『くろくま』ですね」と笑った。

部屋関係者からは親しみを込めて「くま」の愛称で呼ばれることが多い。部屋付きの間垣親方(元幕内石浦)から「今度白熊と一緒に写真を撮ろう」との話も挙がったというほどの注目ぶりだ。熱戦を制して白星発進した勢いそのままに、「このまま星を伸ばしていきたい」と意気込んだ。【平山連】