大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山(29=高砂)が土つかずの6連勝。5戦全勝で並んでいた関脇琴ノ若(26=佐渡ケ嶽)が敗れたため、6日目にして優勝争いの単独トップに立った。

腰の重い錦木(33=伊勢ノ海)相手に、右四つの体勢になったが左上手が取れない。状況を打破しようと左を巻き替えたが、錦木に逆の右を巻き返され、狙っていたもろ差しの体勢は取れなかった。腰が浮いたところを攻め込まれたが、下手投げを打ちながら回り込み、最後はその左からの下手投げでけりをつけた。

やや強引にも見えた巻き替えに、報道対応した日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「錦木は腰が重いから巻き替えにいったんだろうが危なかった」と指摘。さらに、かねて朝乃山の課題に挙げていた上手の取り方についても「おっつけながらの上手になれば本物だが、まだまだ(以前のようには)戻っていない。上手が深いから、もっと下から引きつけるように取らないと」と求めた。

もっとも、このまま連勝街道を走り続ければ役力士との対戦も臨めるだけに、それは同理事長も楽しみにしているようだ。「霧島とか豊昇龍とかと対戦するのを見てみたい。(二人が大関に)上がってくる時に(朝乃山は出場停止で番付を下げ)逆転されているから興味がある。お互いにいい成績でね」と、終盤戦で優勝争いを演じることを待望した。

後半戦の審判長を務めた審判部の浅香山副部長(元大関魁皇)も「流れの中で投げを打つようになってしまったけど」と、やや強引な面は否定しなかったが、前向きな姿勢は評価。「当たって前に攻めようという気持ちが見られる。踏み込んでしっかり前にという相撲を続ければ(もっと)良くなる」と、朝乃山の残りの相撲にも期待した。