1年に1度、大阪で開催される春場所が今日から始まります。大阪のファンは楽しみに待っていたことでしょう。そんなファンがいることを肌で感じ、力士には奮闘を期待しています。
いろいろな見どころはありますが、私個人として一番の注目は新入幕の尊富士です。十両では、ほとんど一発で持って行く相撲で本当に強いと思います。バランスのとれた体とスピードもそう。この勢いなら100パーセント勝ち越すでしょう。学生時代の相撲を見ていないので、もっと見てみたいと思っていたら、アッという間に入幕です。ジックリと見てみたいと思います。
もちろん新大関の琴ノ若にも注目です。豊昇龍の新大関の時の展望コラムでも書きましたが、私が現役時代、最も鮮明に覚えている一番が新大関の最初の取組でした。新十両でも新横綱でもありません。なぜかというと「絶対に負けられない」「大関にずっと在位しているわけにはいかない」「この一番で負けたら引退…」といったプレッシャーに襲われた最も緊張した一番だったからでしょう。
琴ノ若が、どんな気持ちで臨むかは分かりませんが看板の重さに負けないでほしい。心技体の「心」の部分がいちばん大事で吹っ切れれば大丈夫でしょう。あとは琴ノ若の場合、稽古も順調にこなしているようなので、問題は横綱と大関戦が控える後半戦でしょう。とにかくスタート(初日)とゴール(千秋楽)をきちんと締めてほしいと思います。余談になりますが、改名の話題もあります。個人的には「猛牛」の異名をとったおじいさんの「琴桜」より、長身を生かした四つ相撲のイメージもある、お父さん(佐渡ケ嶽親方)も名乗った「琴ノ若」の方がピンと来るような感じですね。朝起きてスポーツ紙で「若花田から若ノ花に改名」(のち若乃花)を知った身としては、師匠とよく相談して決めてくれれば、それでいいと思います。
他に注目する力士も触れます。心配なのは貴景勝です。本人は大丈夫と言っていましたが、一門の連合稽古に出られないのは状態が良くないのでしょう。ぶっつけ本番に近く、ご当所のファンも心配でしょう。三役復帰が目前の朝乃山は、2場所連続で皆勤がありません。気持ちは若く持ってもいいけど、30歳になった年齢を考えれば稽古で数をこなすプレッシャーを自分にかける必要はないと思います。そこはうまく、さじ加減しながら、あとはケガをしないことと気持ちの問題だけでしょう。大の里の番付10枚アップは本人も驚いていましたが、実力を伴った上がり方で審判部の判断は正しいと思います。今場所も三役以上との対戦が楽しみです。
最後に、私が今、最も気をもんでいる宮城野部屋の問題についてです。応援するファンにとって心を痛める大きな問題です。個人的に思うのは、これは宮城野親方個人だけの問題で済ませてはいけないということです。これからは日本国籍を取得しているからといって、すぐに親方にさせるのではなく、日本文化や考え方、価値観などを時間をかけて教え込むことが必要ではないかと思います。やはり生まれ育った国が違うと考え方も違うし、来日して相撲界に入る苦労も、よく分かります。そんな相撲界の中も、離れた外の世界も大変なことは重々、分かっている私からの提言です。では、明日の紙面から日々の評論もご一読のほどよろしくお願いします。(日刊スポーツ評論家)

