幕内2場所目の西前頭5枚目大の里(23=二所ノ関)が、ざんばら髪として初優勝の快挙へ、望みをつなぐ10勝目を挙げた。関脇大栄翔との初顔合わせ。前日12日目に7敗目を喫し、負ければ8場所ぶりの負け越しと後がない、12場所連続三役の強敵をはたき込みで破った。大の里はこれで新入幕の先場所に続き、2場所連続の2桁白星。単独トップの尊富士の結果次第と他力本願ながら、逆転優勝の可能性は残った。

前日は2日連続の大関戦&結びの一番となった、琴ノ若戦で敗れた。先場所でも敗れていた、上体の柔らかい琴ノ若に力を伝えきれず、最後は小手投げに転がった。相手が関脇だった先場所は、初の三役戦だったが「緊張した」と体が硬くなり、立ち合いで圧力をかけられなかった。前日の立ち合いは「自分なりに考えた」と、失敗しなかったが「土俵際でやられた」と視線を落とした。一夜明けたこの日の朝稽古後も「思い切って行ったつもりだったけど、うまさでやられた」と、経験と技術の差を痛感させられたと振り返った。

ただ「昨日(12日目)負けた時点で『(初優勝は)ないな』と思っている。優勝とかは考えず、最後の3日間で2勝以上はしようと目標を立てた」と、黒星を引きずることなく、気持ちは吹っ切れていた。さらに「(今場所の)後半になるにつれて疲れも出てきた。最近、前半戦にはなかった負け方をするようになって、疲れがあると気付いた。特に下半身に」と明かした。吹っ切れたことで、そう体の変化に気付けたという。風呂の長くつかるなど、これまで以上に体のケアに時間を割き、万全の状態で土俵に立つことに努めた。

「疲れている中で目標を見失わずにいきたい。きついけど、ここからが大事。1場所1場所が経験」。12日目にトップとの差が「2」から「3」に広がり、優勝から遠ざかった。無欲となったことが、大の里に力強さを取り戻させている。