大関豊昇龍(25=立浪)が23年名古屋場所以来、大関昇進後初の優勝を飾った。

結びで琴桜との「大関対決」を制し、前日14日目まで1差で追っていた金峰山と千秋楽に星を並べた王鵬との優勝決定ともえ戦を制した。日本相撲協会は横綱昇進を諮る理事会の招集を決定。豊昇龍の横綱昇進が確実になった。横綱照ノ富士が引退した今場所、おじの朝青龍と並ぶ角界最高位に就く。

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豊昇龍の肉体は、大関昇進時ですらまだ発展途上だった。大関とりに挑む23年7月の名古屋場所前、立浪部屋のフィジカルコーチの松原郷士氏はこう語っていた。「今年からようやく計画的に筋力トレーニングを継続できるようになったのに、大関をうかがう地位にいるんですよ」。その言葉から、豊昇龍のポテンシャルの高さを実感した。

印象的なのは、土俵外でも際立つ偉大なるおじ、元横綱朝青龍ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏の存在だ。場所中のトレーニングを禁じて「ケガにつながる」など厳しく叱って豊昇龍を泣かせたこともあったという。トレーニングから一時的に離れたが、豊昇龍は自らおじを説得。筋トレ再開の許可を得たという話を聞き、精神的なたくましさを感じた。

1番の魅力は、飽くなき向上心だ。

同じ部屋の明生や十両の木竜皇が筋トレに励む姿を見れば対抗心を燃やし、すかさず「何キロ持った」などを聞いて、さらに重い負荷をかける。「ケガをしないようにセーブさせるのが大変なんです」と松原氏に冷や汗をかかせながら、自分を追いこんでいく。

日頃の稽古やトレーニングを見ている松原氏は「1番強い人が1番トレーニングをしていたら、若い衆は何やってるの? となりますよね」。誰に言われたわけでもなく、自分の体を愚直にいじめ抜く。そんな部屋頭の姿が部屋一体にもたらすエネルギーは計り知れず、別の部屋のある関取は「トレーニングルームにいるのは自分の部屋では僕だけなんで、うらやましいですよ」と話していた。

大関昇進から1年半。25歳にして横綱昇進を確実にした豊昇龍だが、まだ25歳。周囲と切磋琢磨(せっさたくま)する環境でさらに揉まれ、どんな完成形を迎えるのか。その途上にある男に目が離せない。【22~24年大相撲担当=平山連】