伝説誕生へ、舞台は整った。大相撲の新横綱大の里(25=二所ノ関)が、名古屋場所初日を2日後に控えた11日、部屋を支援するアイ工務店から、横綱だけが着用する三つぞろいの化粧まわしを贈呈された。愛知・安城市役所で行われた贈呈式では、同市の三星元人市長から新会場IGアリーナで最初の優勝を勝ち取り「伝説」となることを期待され、化粧まわしには「新たな歴史の始まり」の意味が込められた。この日の取組編成会議で初日は新小結欧勝馬、2日目は東前頭筆頭安青錦との対戦が決定。伝説への15日間が始まる。
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横綱の象徴、三つぞろいの化粧まわしを前に、気持ちが高ぶらないわけはなかった。大の里は冷静な口ぶりの中に、随所に熱い思いをにじませた。贈呈式でのスピーチでは「この化粧まわしを着けて土俵に立つことが、今でもワクワクします。この化粧まわしを着けて、また優勝額を残したいと思っています。そのチャンスを、名古屋場所で生かせるように頑張ります」と堂々と語った。IGアリーナの初代優勝力士の称号への、意欲を隠さなかった。
贈呈された化粧まわしは太刀持ち用が風神、露払い用が雷神、大の里用が“ダイヤモンド富士”こと富士山と朝日がデザインされたものだ。贈呈したアイ工務店の坂井達也社長は、この三つぞろえのデザインについて「力強くも品格のある横綱として、土俵上で躍動する大の里関の姿にふさわしい」と説明。特にダイヤモンド富士については「富士山は日本一の山。頂点に立つ誇り、そして気高さを象徴。富士山の背後から上る朝日は新たな歴史始まりと、さらなる飛躍を象徴」と、大きな期待を込めた。
部屋宿舎のある安城市も全面支援の構えだ。三星市長はスピーチ冒頭で「安城市にとって歴史的な日を迎えることができました。現役の横綱、大の里関に安城市役所にお越しいただきました」と熱弁。市長は昨年まで60年間名古屋場所を開催した愛知県体育館の最初の優勝が「昭和の大横綱」大鵬だったことを引き合いに、さらに口調は熱を帯びた。「ぜひIGアリーナ最初の優勝力士と歴史に名を残していただきたい。IGアリーナでの名古屋場所から大横綱としての歩みが始まった。将来、そんな伝説が残るような活躍を。『令和の大横綱』の称号を勝ち取っていただきたい」。直後に盛大な拍手が起きた。
この日は初日が過去2戦2勝の欧勝馬、2日目が初顔合わせの安青錦との対戦も決まった。「明日までしっかり調整して初日に間に合うように頑張ります」。最速昇進した先場所までの第1章に続く「伝説」の第2章の始まりへ、準備に抜かりはない。【高田文太】
◆三つぞろい 横綱土俵入りで、自身と太刀持ち、露払いが締める3つ1組の化粧まわし。「心」「技」「体」や「松」「竹」「梅」などの文字、富士山や鶴など風景、縁起の良い刺しゅうが施されるのが一般的。ユニークな物もあり、曙はしこ名と太刀持ちが星条旗、露払いが日の丸のデザインや、ハワイの英雄カメハメハ大王を描いた物も。千代の富士は勝利を表す「V」の文字を使い、常陸山は月桂(げっけい)樹の葉に真珠、ルビーなどの宝石をちりばめ、5カラットのダイヤモンドもはめこんだ。白鵬は、アンパンマンの生みの親の故やなせたかし氏がデザインした青汁販売会社のキャラクターも持つ。稀勢の里(現二所ノ関親方)は、漫画「北斗の拳」のラオウ、太刀持ちケンシロウ、露払いトキ。豊昇龍は、デザイン書家の山崎秀鴎氏が書いたしこ名の一部「龍」を金銀の糸で縫いつけたものを使用している。

