[ 2014年6月24日9時2分

 紙面から ]<W杯:米国2-2ポルトガル>◇1次リーグG組◇22日◇マナウス

 ポルトガルが1次リーグ敗退危機から「徳俵」で踏みとどまった。米国相手に1点を追う後半ロスタイム、エースFWのクリスティアノ・ロナルド(29=Rマドリード)が絶妙クロスで同点ゴールを演出。2-2の同点で勝ち点1をつかみ、決勝トーナメント進出へ最終ガーナ戦に望みをつないだ。

 94分間封じ込められていたロナルドが、最後に意地を見せた。ロスタイム突入から4分がすぎ、プレーが切れれば終了となるラストワンプレー。右サイドでMFナニからパスを受けると、相手DFがチャージに来る前に中へクロス。走り込んできたFWバレラの頭にドンピシャで合わせ、同点ゴールが生まれた。

 そして、試合再開のキックオフと同時に終了の笛。敗退寸前で首の皮がつながった。米国のクリンスマン監督は「我々には3人のセンターバックがいたが防ぐことができなかった。それほど良いクロスだった」と脱帽するしかなかった。

 米国は「ロナルド対策」として右DFジョンソン(ホッフェンハイム)、センターバック・キャメロン(ストーク)に加え、普段は左ボランチのジョーンズ(ベシクタシュ)まで右に配置した。勝ち点奪取へ、左サイドとゴール前を主戦場とするロナルド封じが大命題。欧州でプレーする3選手に特命を課し、ほぼ90分それが機能した。

 だが最後はエースの嗅覚が勝った。最後のプレーの直前、ロナルドは3人から逃れて右へ移動。自由に動けるスペースでパスを受けると、瞬時にクロスを入れた。エースの意表を突く位置取りと素早いクロス。相手DF陣が目を離した隙を突き、右サイドから同点ゴールを生み出した。

 世界ランキング4位で臨んだ今大会、前評判とは裏腹に苦戦が続く。チームはロナルドやナニのドリブル頼み。追い越す動きがないため、攻め手を欠いているのが現状だ。ベント監督は「ミスから米国に2点目を献上し、ドローは妥当な結果。決勝トーナメント進出には厳しい状況になった」と現実を直視する。

 16強入りするには最終戦でガーナに勝利し、米国-ドイツ戦がドローにならないことが最低条件。その上で得失点差の勝負となる。ロナルドはW杯欧州予選プレーオフのスウェーデン戦で2戦4得点し、チームを本大会へ導いた。窮地になればなるほど、力を発揮するのもスーパースターたるゆえんだ。今大会も「チームを助けるための体と魂を持ってここにいる」と言う。奇跡の決勝T進出へ、やはり「ロナルド」がチーム戦術となる。