[ 2014年7月2日9時23分

 紙面から ]指示を送るフランスのデシャン監督(撮影・松本俊)<W杯:フランス2-0ナイジェリア>◇決勝トーナメント1回戦◇6月30日◇ブラジリア

 フランスのディディエ・デシャン監督(45)が采配を的中させ、8強へと導いた。前半から互いに激しく攻め合い、互角の展開が続いていた後半17分、長身FWジルーに代えてスピードのあるFWアントワヌ・グリーズマン(23=Rソシエダード)を投入した。そして34分、左CKを獲得。相手GKがクリアできず、こぼれ球をMFポール・ポグバ(21=ユベントス)が頭で先制した。同47分にはMFマチュー・バルブエナ(29=マルセイユ)の速いクロスがオウンゴールを誘い、試合を決めた。

 「相手が疲れて、前線の選手が守備に戻らなくなった。そのスペースを利用して、パスを回して崩せた」。読みが見事に当たり、納得の表情だ。優勝した98年大会の選手時代から、今大会は3勝1分けとW杯10戦負けなし。不敗神話が続く。「予想通り厳しい戦いになったが覚悟はしていた。ナイジェリアの身体能力の高さに対応できた」と振り返った。

 試合会場のブラジリアは今大会で最も高い、標高1172メートル。空気の薄さなど環境の変化に対応するために生活リズムを変更。朝食は午前10時の1回だったものを、練習前の午前9時に1回と、午後3時に軽食も入れ、コンディション調整に万全を期した。

 チームの結束力も高まっている。素行の悪いMFナスリをメンバーから外し、チームの輪を重視。その作戦は功を奏し、FWベンゼマは「我々は真のチームで、強さを増している。いいチームで、中心人物はいない。皆が上にチームを引っ張っている」と言う。ここまで10得点で得点者は6人。ストライカーはいないが、チームで勝っている。

 2大会ぶりの準々決勝へ進み、一戦ごとに勢いは増している。GKロリスは「このチームは強い。今は大きな自信がある」。前回南アフリカ大会はチームが内紛で崩壊し、1次リーグ敗退の憂き目にあったフランス。デシャン監督の下、総合力で勝ち上がる。

 ▼W杯「10戦不敗」

 フランスのデシャン監督は同国代表主将として98年の自国開催で優勝した経験を持つ。98年大会はボランチで6試合に出場しチームは負けなし。今大会も監督として4戦不敗。W杯では選手と監督を通じて10戦負けなし。その両方で優勝となれば、ブラジルのザガロ(選手=58、62年、監督=70年)、西ドイツのベッケンバウアー(選手=74年、監督=90年)に次いで史上3人目の偉業。