AKB48最後の1期生・峯岸みなみ(28)が、今日22日に横浜・ぴあアリーナMMで卒業コンサート「桜の咲かない春はない」を行う。峯岸と同期で盟友の高橋みなみ(30)が日刊スポーツの取材に応じ、峯岸とのエピソードを明かした。【取材・構成=大友陽平】

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最初の印象は「同じ名前の子がいるなあ」ということでした。私も人生で初めて同じひらがなの「みなみ」ちゃんに出会って、お互い意識していたと思います。実は最初、秋葉原の劇場初日(05年12月8日)までに芸名をつける予定があったんです。私はもともと芸能にいい字画で名付けてもらっていたのでそのままだったんですけど、みぃちゃんは違う名前を考えていたらしいんです。結局芸名はなしになったんですけど、みぃちゃんには「名前が一緒で(かぶるのが)嫌だった」みたいなことを言われたのは覚えてます(笑い)。そういう繊細さは、昔からありました。

それまでも、劇場の楽屋では同世代で固まることが多くて、私とかみぃちゃんはだいたい(前田)敦子とかともちん(板野友美)、成田梨紗ちゃん、加弥乃が一緒にいて、そこから交流が生まれていったという感じですが、グッと仲良くなったのは、同じ事務所に所属してノースリーブスのメンバーになったことが大きかったです。

みぃちゃんの中学の卒業式に出席した話ですか? みぃちゃんは中1で入学して、活動で学校を休むことも多くて、思い出もあまりなかったり、めちゃくちゃ仲が良い人もいないから「卒業式に行く意味が見当たらない」と(笑い)。ちょうど紅白に出させていただいたり、AKBも少し認識されて、珍しい感じで見られちゃうし行きたくないと。私もその気持ちがすごく分かるし、じゃあ行こうか? って(笑い)。本人は冗談だと思っていたかもしれないですけど、みぃちゃんの両親と参列しました(笑い)。

お互いに心を開いていて、信頼してるからこそ、包み隠さない感情ってあるじゃないですか? みぃちゃんは、ちょいちょい私に当たる時期があるんです(笑い)。最初は、第1回選抜総選挙の開催が発表されたコンサートで、みぃちゃんはステージが終わってからバーッてトイレに駆け込んで閉じこもっちゃって「総選挙なんて嫌だ!」と。「嫌な気持ちはわかるし、私も嫌だよ」と言ったら「私とたかみなは違う! 私は人気とかじゃなくて、なんとなく選抜に選ばれた人間だから人気投票ってなったら入れない!」と…。そんなこともありました。

あとは…(笑い)。みぃちゃんが20歳になってすぐくらいの時でした。当時は、大人になったメンバーを、お姉さんたちがお酒を飲みに誘ってくれて。みぃちゃんは末っ子だったので、ずっと「うらやましい! ズルい!」と言っていたんです。飲めるようになって、たまたま一緒に食事に行った時があって、私は割とちょびちょびと飲むんですけど、みぃちゃんは楽しくお話ししながら、クイッ、クイッと飲むのでスピードがちょっと違ったんです。次の日もそんな忙しくはなかったんですけど「飲み過ぎるなよ~」と言ったら、楽しかったのを私が止めることが嫌だったみたいで、本人は覚えてないと思うんですけど、「だから一緒に飲みたくないんだよ!」って(笑い)。それからあまり一緒に飲んでないです(笑い)。

もう1つあって(笑い)。騒動があって髪がベリーショートの時代に、日本武道館コンサートだったと思うのですが、研究生に降格して、それまで選抜のメインステージにいたのに、花道の方に行かなきゃいけなかったりして…。2人でご飯に行った時に、本当に人の目がすごく気になると。今が耐え時だし、みんなそんな風に見てないと言ったら、それも覚えてないと思うんですけど「たかみなには分からない!」と(笑い)。みぃちゃんは先に帰っちゃって、残された私は1人で泣きました(笑い)。そんなことも思い出です。

峯岸みなみというアイドルは、王道アイドルではなかったと思いますが…。本人がキャッチフレーズか何かで「雑草魂」みたいなことを言っていたんですが、本当にそういう感じだと思います。メンタルはめちゃくちゃ弱いけど、あきらめないというか、どんなところでも芽を出すというか。その力は本当にすごいなと思います。

いろいろなことがありましたが、「終わり良ければすべて良し!」だと思います。(研究生に降格して)みぃちゃんからしたらかなり苦難の道でしたけど、みぃちゃんと一緒にいた後輩たちが学んだこともきっとあっただろうし、ずっと後輩キャラだったけど、そこでみぃちゃんが学んだことも、すごくあったと思うんです。

そういう意味でも、本当にすごいですよね! だって、「AKB48」の全てを経験してるんですから! もう仏の域です。あそこまでいくと、もう悟りを開いてると思います。辞めないで苦難の道を選んだ彼女は「修行僧」のよう。そしてラストにあった苦難がこのコロナでの1年延期ですから…。なんとなく卒業というゴールが見えると、肩の荷が徐々に下りていくので、そこからの“延長戦”って、とんでもない精神性を持ってないと…。

でもこの1年でバラエティーにもたくさん出たり、ある意味で神様からの贈り物だったのかなと。この1年がなかったらまた違ったと思いますし、ある意味“持って”ますよね。

敦子とかとも昔から言ってるんですけど、みぃちゃんはおもしろいし、ずっと私たちのムードメーカーです。誰からも嫌われず、なんか不思議なポジションにいる人で、それがやっと世の中に分かってもらえてきたこの1年でもあったと思います。みぃちゃんは卒業した後の方がよりおもしろい! だから、より自由にやってほしいと思います。いろんなことがあった分、自分はダメなんだとか、ちょっと制限をかけているところもあるので、それを全部取っ払って、本当の峯岸みなみで勝負してもいいんじゃないかなと思います。それだけ魅力的です。

え? (峯岸がドッキリ番組などでふんする)ガチャピンは30歳でやめるんですか? その時は「ガチャピン卒業式」をぜひやってあげてください! 私もドッキリを仕掛けられましたし、その卒業式にも参加したいですね(笑い)。

◆高橋(たかはし)みなみ 1991年(平3)4月8日、東京都生まれ。愛称「たかみな」。05年12月にAKB48の1期生として加入。12年8月から48グループ総監督を務め、16年4月に卒業。現在、NHK「首都圏情報 ネタドリ!」やフジテレビ系「バイキングMORE」などでレギュラー。来月3日には初のレシピ本「たかみなの毎日食べたくなる そこそこごはん」を発売。血液型AB。