嵐のライブ映画「ARASHI Anniversary Tour 5×20FILM Record of Memories」(11月3日から先行上映)を最先端の映像、音響設備が整ったドルビーシネマで見た。

松本潤(37)演出の20周年ツアー(18~19年)の最後に、映画撮影のためだけに東京ドーム公演を開催。デビュー以来、嵐と関わってきた堤幸彦監督が会場に125台のカメラを投入して、文字通り彼らの魅力を余すことなく撮影したぜいたくな1本だ。

「TRICK」シリーズや「20世紀少年」3部作で知られる堤監督だが、今回は変化球を封印した直球演出で臨んでいる。躍動感のあるライブ映画は少なくないが、ここにもかという「接近カメラ」で、微妙な表情の変化や汗の一滴も映し出している。

絶え間ない歓声に一段と抑揚が付くのは、メンバーそれぞれが肩に手を掛け合ったり、アイコンタクトをするところで、メンバー間の絆を実感するとともに、ファンが彼らに求めてきた「一番」は何なのか、が伝わってくる。

クリアな映像とともに、深みのある音響で改めてメンバー個々の声質も浮き彫りになる。相葉雅紀(38)はいかにもアイドルっぽいキャンディボイス。松本は想像以上に力強い。二宮和也(38)は発語がいいのだろう、歌詞がすっきり聞こえる。大野智(40)は何でも当たり前のようにやってしまうが、じっくり聞けばやっぱり頭抜けてうまい。そして、もともと声域の広い櫻井翔(39)の歌声は随所にアクセントが効いている。

このライブ映画を見る直前に相葉と櫻井のダブル結婚発表があったので、改めてデビュー間もない頃の音源も聴いてみたのだが、比べてみると、ユニゾンもハモりも今作の方が明らかにキレイに決まっていて、成長の跡がうかがえた。

大野のキレキレのダンスや櫻井のピアノソロなど、それぞれの「特技」もしっかりクローズアップされる。

文字通り20年の集大成。良質のエンターテインメントに仕上がり、嵐ファン以外にも楽しめると思う。

【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)