「プラダを着た悪魔2」「オデュッセイア」と話題作が続いたアン・ハサウェイ(44)が、とんでもない変化球で魅せてくれる。
「ヴェリティ/真実」(マイケル・ショウォルター監督、11月6日公開)で演じるのは交通事故で全身まひになった人気作家役だ。
ミステリー作家のローウェン(ダコタ・ジョンソン)は、唯一の家族で闘病生活を送っていた母をみとったばかりだ。書店の朗読会では閑古鳥が鳴き、公私ともに行き詰まっている。
そんな彼女に願ってもないオファーが舞い込む。新作執筆中に交通事故に遭ったベストセラー作家ヴェリティ(ハサウェイ)のゴーストライターだ。夫ジェレミー(ジョシュ・ハートネット)の招きで邸宅に滞在することになったローウェンは、新作のメモや資料が山積みされたヴェリティの書斎で執筆に取りかかる。
邸内の一室では、ヴェリティが完璧な出張看護を受け、ベッドと車椅子で生活していた。ローウェンは表情にまったく変化がない彼女を目の当たりにし、想像以上に重傷であることを知る。
書斎で仕事中、引き出しを開けたローウェンはUSBに記録されたヴェリティの日記を発見する。夫との情熱的な性愛、双子の子どもたちの片割れが事故死した「真相」…そこには人気作家の裏の顔が赤裸々につづられていた。
日を追うに従い、ジェレミーとの親密さを深めていくローウェンだが、常に誰かに見られているような感覚にとらわれる。やがて、彼女はおぞましい「真実」にたどり着くが…。
撮影前のロケハンで、舞台となっている邸宅にたどり着いた時のスタッフの笑顔が目に浮かぶ。持ち主には失礼だが、モダンでありながら何とも不吉な雰囲気が漂っている。デンマークの彫刻家でデザイナーのイェンス・クイストゴーの作だという。
完璧な舞台を得たハサウェイには終始ゾクゾクさせられる。回想シーンの華やかさ、車椅子のまるで死人のような姿、そして…。役者冥利(みょうり)のキャラクターを喜々として演じている。
ジョンソンもゴーストライターの立場から徐々に自己を解き放ち、やがては欲望をのぞかせる変化をわかりやすく見せてくれる。「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のヒロインらしく、官能シーンはハサウェイに後れを取らない。
ハートネットも「良き夫」に収まらない闇の部分を序盤からのぞかせている。
原作はプロデューサーも兼ねたコリーン・フーヴァー。一昨年、ブレイク・ライヴリーが主演した「ふたりで終わらせる」もそうだったが、ドロドロ具合が半端ない。出演者がいつもよりコテコテに見えてくるのが、この人の作品の特徴だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




