濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が作品賞、監督賞を含む4部門にノミネートされていることで大注目の第94回アカデミー賞の授賞式が、いよいよ27日(日本時間28日)にハリウッドで行われます。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、会場をダウンタウンのユニオン駅に移して規模を縮小して行われた授賞式も、今年は例年通りドルビー劇場から生中継されます。日本ではWOWOWで放送&配信されますが、本番を前にどのような授賞式になるのか見どころなどを含めて紹介します。

■授賞式の会場はどこ?開始時間は?

ハリウッドの中心地に位置するハリウッドスターの手形や足形でおなじみのチャイニーズ劇場に隣接するドルビー劇場にて、現地時間27日午後5時(日本時間28日午前9時)から始まります。ドルビー劇場の収容人数は3300人とされていますが、新型コロナウイルスの感染予防対策のため例年より人数を減らして2500人が出席を予定しています。授賞式の数時間前から会場前に設置されたレッドカーペットに各賞の候補者やプレゼンテーターを務めるセレブら豪華スターたちが続々と登場し、その様子も現地では生中継されます。2001年にオープンしたドルビー劇場(当時はコダック劇場)は、翌年から昨年を除いて毎年アカデミー賞の授賞式会場となっています。

■司会者は?

第91回アカデミー賞授賞式で司会を務めることが決まっていたコメディ俳優のケビン・ハートが、過去の問題発言が原因で降板したため19年から司会不在で行われてきた授賞式ですが、今年は4年ぶりに司会が復活。エイミー・シューマー、レジーナ・ホール、ワンダ・サイクスという3人の女性が司会を務めます。司会者による進行が行われるのは、18年のジミー・キンメル以来となります。

■プレゼンテーターは?

豪華セレブがプレゼンテーターとして登場することで知られるアカデミー賞ですが、今年はレディー・ガガ、ケビン・コスナー、サミュエル・L・ジャクソン、ミラ・クニス、クリス・ロックらの出席が発表されています。また、ヘンリー王子とメーガン妃にも作品賞のプレゼンテーターのオファーがあったと一部メディアが伝えていますが、実現するのかどうかは分かっていません。当日、サプライズで登場する可能性もあるかもしれません。

■マスク着用は?ワクチンは?

マスクに関するガイドラインは正式には発表されていませんが、先月の時点ではステージに近い前列に座る候補者ら招待客は、客席でのマスクの着用は不要になったと報じられています。その後、ロサンゼルス(LA)では感染者数が減少したことで今月4日からマスク着用義務が解除されたため、今年はノーマスクでの開催になる可能性が高そうです。また、出席する候補者とゲストにはワクチン接種証明書とPCR検査で2度の陰性証明の提示が義務付けられているものの、プレゼンテーターとパフォーマーに関しては陰性証明のみでワクチン接種証明書の提示は求めない方針を示しています。

■今年の授賞式の見どころは?

近年の視聴率低迷を受け、今年は放送時間を短縮して簡素化するため、短編アニメーションや短編ドキュメンタリー、メイクアップ&ヘアスタイリング、美術などマイナーな8部門の賞は授賞式の前に同じ会場で事前収録することが発表されています。授賞式では編集された映像が紹介されるようですが、この措置に関してスピルバーグ監督やジェームズ・キャメロン監督ら多くの関係者から批判の声が上がっていました。

また、今年は授賞式のテーマ「ムービー・ラバーズ・ユニット」にちなんで、ツイッター上で初めて実施されたファン投票の結果が授賞式当日に発表されます。ノミネートされていない作品も対象となっているため、一般オーディエンスが選んだ今年のベスト作品が何になるのか気になるところです。

有力候補は最多12部門にノミネートされている「パワー・オブ・ザ・ドッグ」。続くのは前哨戦の一つとして知られる全米映画組合(SAG賞)で最高賞にあたるキャスト賞に輝く快挙を成し遂げた「コーダ あいのうた」ですが、一昨年の「パラサイト 半地下の家族」の作品賞受賞のようなサプライズが起きる可能性も十分にあります。国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の受賞が確実視されている「ドライブ・マイ・カー」の脚色賞や監督賞受賞はあるのか? はたまた、日本映画として史上初となる作品賞受賞の可能性はあるのか? 受賞結果の発表に乞うご期待です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)