「スーパー歌舞伎」などを生み出し、歌舞伎界の革命児とも言われた2代目市川猿翁さん(3代目市川猿之助)が83歳で亡くなってから今月13日で1年が過ぎました。

21日には猿翁さんから京都芸術大に贈られた歌舞伎関係資料をもとに、その軌跡をたどる「三代目市川猿之助の世界」フォーラムが開催され、孫の市川團子(20)が出席しました。猿翁さんは同大で教授、副学長を務め、学内にある京都芸術劇場・春秋座の芸術監督にも就任。贈られた資料は台本や蔵書、映像・舞台写真など2万点に及ぶそうです。

猿翁さんの薫陶を受けた歌舞伎俳優は数多いけれど、歌舞伎はもちろん、映画、ドラマでも活躍する坂東彌十郎(68)もその一人です。25歳ごろから猿翁門下に入り、スーパー歌舞伎の立ち上げにも参加し、猿翁さんが演出したオペラ「コックドール」の演出助手も務めるなど信頼を得ました。40歳で門下を離れた際には「もう顔を見たくない」と破門のような形でしたが、師匠である猿翁さんへの尊敬の思いは変わることがなく、一周忌にあたる13日の彌十郎のブログには「ボスハート猿翁さんの一周忌 どんどん感謝の念が大きくなります」と書いていました。

一昨年に三谷幸喜氏脚本のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の北条時政役で注目を集め、くしくも一周忌と同じ今月13日に公開された三谷監督の映画「スオミの話をしよう」では長澤まさみ扮(ふん)する主人公スオミの5番目の夫を演じるなど大活躍ですが、その原点は猿翁さんの薫陶にあるとの思いがあるからでしょう。

10月にはスーパー歌舞伎第一弾「ヤマトタケル」が博多座で上演され、中村隼人と團子がヤマトタケル役で交互出演します。猿翁さんの「遺産」はしっかりと受け継がれています。【林尚之】