タイトル通り、おいしいものが詰まった、おべんとうのような映画だ。離婚した父が、自分を選んだ息子が1度失敗した高校受験に合格した際「3年間、毎日お弁当を作る」、「3年間、休まずに高校に行く」と男の契りを交わす。2人が時にぶつかり合いながら前に進む日々、それぞれの人間関係、恋愛模様まで描き、内容は盛りだくさんだ。

V6井ノ原快彦と、なにわ男子の道枝駿佑が演じる父子の間に流れる空気が温かい。井ノ原は26歳離れたジャニーズ事務所の後輩の気持ちを理解しようと“タメ口協定”を結び会話。おべんとうの中心メニューの卵焼きを練習するため現場に毎日、卵を持ち込んだ。道枝も一緒にお昼を食べ、卵焼きの感想を井ノ原に伝えるなど丁寧に作り上げた関係が映像に表れている。

また、井ノ原がKREVA、やついいちろうと組んだ劇中バンドのライブも耳の奥まで染みる本格的なものだ。楽曲は映画の原作のエッセーを書いた「TOKYO No.1 SOUL SET」渡辺俊美が書き下ろし、ラップ部分はKREVAが担当した、映画でしか聴けない唯一無二のもの。コロナ禍の中、映画館やライブハウスに行くのに二の足を踏んでいる人に特にお勧めの“1粒で2度おいしい”1本だ。【村上幸将】

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