8月31日に都内で行われた完成披露試写会で、柴咲コウが語った一連の内容は、もう、評論など必要がないくらい、作品をしっかりと分析、論評していた。

<1>脚本を読んだ時点で、原作にあれだけたくさんのキャラクターが出てくる中で、どうやって映画にまとめるか最初、疑問だった。

<2>それが最初の5~10分でギュッと詰まっている。

<3>原作を読んでいるので、展開は分かっていて、映画に出ている側なのに試写の冒頭で心をつかまれた。

<4>これだけのキャラクターの心を取りこぼさず、描けたのが監督の力。

東野圭吾氏が1996年(平8)に発表した小説「ガリレオシリーズ」を、フジテレビが07年10月期に連続ドラマ化して以来15年で、連ドラは2シーズン放送され、今作で3本目の映画が公開された。原作の初登場からだと、26年の長きにわたるコンテンツだけに、入りにくい人もいるかもしれないが、心配は無用だ。柴咲の言葉通り、冒頭10分を見れば事件の概要、福山雅治演じる天才物理学者の湯川学、柴咲演じる刑事内海薫、湯川の親友で内海の先輩の、北村一輝演じる草薙俊平の関係性が分かる。

ドラマを立ち上げ、映画全3作を監督した西谷弘監督の“西谷マジック”と脚本の福田靖氏の最強タッグ最新作は、湯川の言葉を借りれば「実に面白い」。【村上幸将】(このコラムの更新は毎週日曜日です)