宙組トップ真風涼帆が主演する同組公演「NEVER SAY GOODBYE-ある愛の軌跡-」は、2月28日に兵庫・宝塚大劇場で、23日遅れの初日を迎えた。公演関係者の新型コロナウイルス感染が判明し、同5日に開幕予定も準備が整わず、27日まで上演中止となっていた。宝塚は14日まで。東京宝塚劇場は4月2日~5月1日の予定。

コロナ禍を乗り越え、ようやく迎えた初日。真風にとって、06年にラインダンスを披露して初舞台を踏んだ思い出作。「NEVER-」は以来の再演で、自身がそのセンターに立った。

劇団5組中、最長キャリアのトップは、開幕前の取材で「とても思い入れのある作品で、身の引き締まる思い。光栄なチャンスをいただけた」と意気込みを語っていた。

舞台はファシズムが台頭してきた1930年代半ば、ハリウッドの華やかな世界から物語が始まる。カメラマンのジョルジュは、映画「スペインの嵐」現地ロケのためスペインへ渡り、内戦に巻き込まれていく。

カメラは「扱いも基礎から研究した」と言い、戦場カメラマンに関する記事も読んだ。戦いへ身を投じていくジョルジュを熱演。フランク・ワイルドホーン氏による劇中歌にも挑んだ。

真風は「ジョルジュたちの生きざまを見て、お客様が『きょうを一生懸命生きよう』って思っていただけたらいいな」と考え、稽古を重ねていた。

ジョルジュに共鳴し、ともに歩む劇作家キャサリンは、トップ娘役の潤花が好演。壮大なナンバーを情感豊かに歌い上げ、芹香斗亜は、闘牛士としての熱さを内戦にもぶつける役どころ。安定感が増すばかりの歌唱力も存分に発揮している。桜木みなとは、ソ連を後ろ盾にしてファシズムとの戦いに挑むが、破滅の道へ進んでしまう難役をこなしている。【村上久美子】