EXILEらを擁するLDHとコラボしたリサイタルを成功させた宙組トップ真風涼帆が再び、コラボ作「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」に臨む。青春群像劇でもある今作。仲間との絆は、コロナ禍で「1日1日を大切に」と結束する宙組の仲間と抱く思いにも通じる。ショー「Capricciosa(カプリチョーザ!!)」は、イタリアがテーマ。兵庫・宝塚大劇場で8月27日~9月26日、東京宝塚劇場で10月15日~11月20日。

LDHとのコラボ作に臨む宙組トップ真風涼帆
LDHとのコラボ作に臨む宙組トップ真風涼帆

当代きっての男役体現者が、アクションあり、舞台にバイクも登場する「HiGH&LOW」に臨む。EXILE TRIBEの総合エンタメ・プロジェクトとしてドラマや映画、ライブ、コミック、ゲーム化などされている人気シリーズ。宝塚版では、この作品群の前日譚(たん)を描く。真風は、岩田剛典(三代目J Soul Brothers)が演じたコブラにふんする。

「岩田さんだけではなく、男性によるアクションのリアルさ、映像ならではの戦闘シーンは圧巻だなと思いました。それを我々が生身、舞台で表現する。課題がたくさんあると思う」

作品は、主演が決まってから見た。LDHとは前作リサイタルに続くコラボ。「音楽や振り付けで刺激をいただいた」とも言う。

「(演じる)コブラがなぜ無口になったのか。映画、ドラマなどでは描かれていない時期のお話になる。アクションシーンの迫力、疾走感のある音楽はさることながら、チームごとのキャラクターも魅力的で…」

伝説のチーム「ムゲン」の元メンバーだったコブラが、総長として「山王連合会」を立ち上げ、新たな仲間を率いる。他のチームとの抗争を通して友情や愛、絆が描かれる。

「(舞台に)バイクも出てきます。(またがるシーンも)ありますね」

宝塚とは対極にも思える世界観だが、共通点も。

「(コブラは)仲間、街を守る。組を守るという意味では、そこは共通する部分かな、と。ただ、その根底に怒りがあり、そこは自分たちにはないのですが…。(共感はあっても)私たちがやるからには、しっかり作り込んでいかなきゃいけないと思っています」

ポスターもハードな雰囲気で、普段の宝塚作とは印象が違うが「作品を拝見した時の世界観を意識しながら撮影した」と言う。

「その中で、私たちがやる意味を感じていただけるように。普段挑戦しない楽曲の数々、アクションもそう。まずは技術的な部分での課題をしっかり攻略し、最終的には、いいバランスで、期待をさらに上回れるような作品にできたら」

宝塚ならではの「HiGH&LOW」へと磨く。

ショーは、イタリアをテーマに「各地を巡る形」だといい、芝居からは一転し「新しさというよりも、ザ・宝塚といった感じで、お届けする形になるのでは」ととらえ、稽古に励む。

革ジャン、ワイルドな衣装が多い芝居からは正反対。スーツ系で魅了する。

「イタリアのだて男みたいな…。でも、暑い夏にぴったりの日差しを感じるような、イタリアを一緒に旅しているようなショーになっているんじゃないかと。プロローグは、男役冥利(みょうり)に尽きるといいますか…。ファンの方が、ワーッと喜んでいただけるような幕開きでは?」

トップ就任から今年11月で丸5年になる。ただ、ここ数年は、コロナ禍での闘いが続く。

「1日1日を大切に-。そこに尽きますよね。なかなか、難しい状況が続きますので、日々に感謝。今できる最善のことを常にやりたい。それを毎日、一緒にできる仲間がいてくれる。本当にありがたいこと。だからこそ、そんな仲間がいてくれるからこそ、こういう作品にも挑戦できる」

見えない敵との闘いが続き、学ぶこともある。

「コロナ禍をへて、悔しくも-ではありますが、みなさまもそうだと思いますけど、喜ばしいことではない出来事が起きても、その中で見つかるものはたくさんあると思います」

いつ公演が停止するとも分からぬ中での上演が続くことで、組子との絆や一体感はより一層強まった。仲間を、街を、守るために戦う芝居の主人公にも再び重ね合わせ、幕開きの日に備えている。【村上久美子】

◆TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」(原作・著作・構想=HI-AX、脚本・演出=野口幸作) 15年に連続ドラマとして日本テレビ系で初放送され20年までにシリーズ5作。16年から公開の映画はシリーズ7作、音楽、コミック、ゲーム、SNSなどとも融合した作品群の前日譚を舞台化する。

ムゲン解散から数カ月後、「SWORD」誕生前夜が物語の舞台。抗争が続く中、ひとりの女性が現れ、「山王連合会」リーダーのコブラと恋に落ちる。「山王連合会」「White Rascals」「RUDE BOYS」「鬼邪高校」「達磨一家」の5チームが台頭。コブラを無口にさせる悲恋とは-。LDH JAPANとのコラボで、守るべき女性、街との間で葛藤する男を描く。

◆ファッシーノ・モストラーレ「Capricciosa(カプリチョーザ)!!-心のままに-」(作・演出=藤井大介) カプリチョーザとは、イタリア語で「気まぐれ」「勝手気まま」といった意味を持つ。放浪のだて男が、イタリア各地を巡る中で遭遇する出来事をつづったショー。

☆真風涼帆(まかぜ・すずほ)7月18日、熊本県生まれ。06年入団。星組配属。15年5月に宙組、17年11月、相手娘役に星風まどかを迎え同組トップ。19年、新人主演の思い出作「オーシャンズ11」主演。昨年6月に2人目相手娘役に潤花を迎えた。今年2月、自身の初舞台作「NEVER SAY GOODBYE」再演で、戦場カメラマンを好演。身長175センチ。愛称「ゆりか」「すずほ」。

※おことわり 公演日程については変更の可能性があります。最新情報は、宝塚歌劇団の公式ホームページなどで確認ください。