雪組トップ朝美絢主演「ポーの一族」が11日、兵庫・宝塚大劇場で開幕する。萩尾望都氏原作の漫画。脚本・演出を務める小池修一郎氏は、入団以来、この作品のミュージカル化構想を温めてきた。18年に花組トップ明日海りお主演で実現させ、今回、朝美率いる雪組で再演が決まった。トップ娘役音彩唯(ねいろ・ゆい)との新トップコンビ大劇場お披露目公演となる。宝塚は8月23日まで、東京宝塚劇場は9月12日~10月25日。【阪口孝志】
◇ ◇ ◇
★嬉しさと驚きと重圧
朝美が前作「波うららかに、めおと日和」に続き再び漫画原作の主人公、それも、演出家の並々ならぬ思いのこもった作品の再演に挑む。
永遠の時を生きるバンパネラの仲間に自ら加わった少年エドガーが、時空を超えて旅を続ける萩尾氏原作の漫画。脚本・演出の小池氏は、長年舞台化の思いを温め、18年に花組で実現させた。
そんな思いのこもった作品だけにうれしさとともに驚き、プレッシャーもあった。
「自分の中で永遠の美しさを持った少年というのが研18という学年で、っていうのもありますし、プレッシャーに思う部分もあったので、私なんかに務まりませんという思いもありました」
★「鋭さあなたの持ち味」
再演の重みを感じながらも「先生も『朝美の思うまま自由にやってみて』と言ってくださっているので、私が思うエドガーというものを、今必死に先生とディスカッションしながら作っている状態です」と全力で挑む。
役作りのイメージは原作や花組の作品で高めた。「関係性によって、エドガーのいろんな面が違ってくると思うので、そこを自分の中でも整理しながら明確にやっていきたい」という。
明日海が演じたエドガーには「まず美しい。美しくて、子供の時のピュアさとか、バンパネラになってからの純粋さの中にある狂気じみた表情。それがすごく印象的です」と感じた。小池氏からは「鋭さというのはあなたの持ち味だと思う。後は真に迫る目の強さが、エドガーが人を見抜くような目の強さにつながると思うから、そこは大切にしていったら良いんじゃないか」と声をかけてもらったそうで「そこを自信に頑張りたい」と朝美エドガー像を思い描く。
雪組では花組公演の話の流れを踏襲しつつ、新曲も盛り込むといい、「エドガーとメリーベルの関係性をより深めるものだったり、男爵の苦悩の歌だったり、役の心情がよりピックアップされた公演になるのではないか」と見どころを語った。
美しい少年の姿のまま、永遠の命を持つことをどう思っているのだろうか。
「私もいろいろ考えたんです」と笑いながら、「いろんな人間の姿を見られる。人生を見るのがとても面白い部分もあり、でも、つらい部分でもあるのかなと思う」と素直な思いを吐露。「ずっと舞台を目指してお稽古が続いていく感じかなとか、初日の見えないお稽古中の感じかなって、周りの子たちと話したりしてたんですけど」と身近な日常に置き換え、「エドガーはその中でも、自分の存在意義というものをアランとかメリーベルという存在で見いだしていると思う。そういう意味では、期間限定で、永遠の命を体験してみたいなとは思います。期間限定で!」と強調した。
★舞台人として感情大切
また、舞台人として永遠に大切にしていることには「感情」を挙げ、「冷静な部分も必要なんですけど、その中でも、1番は心を動かして、その時の感情でいろんな方とお芝居したい。私はそこを大切にしたいです」と語った。
メリーベルを演じるトップ娘役音彩唯とのトップコンビが大劇場初お披露目となる。「今回はエドガーとメリーベルが主軸になってくると思いますので、兄妹愛を超えた深い愛、そういうところは小池先生もピックアップしてくださっているので、そこは『大切にふたりで演じたいね』と話しながら挑んでおります」。
フィナーレは小池氏らしさあふれる演出となっており、「前回の花組さんのフィナーレナンバーと同じ曲もあったり、初演をリスペクトしつつ、また雪組バージョンで新しい曲と新しいお衣装で新たな振り付けでお見せするところもあるという感じです」と明かした。
◆朝美絢(あさみ・じゅん)11月6日生まれ、神奈川県鎌倉市出身。09年入団の95期生。月組配属。17年雪組へ組替え。24年10月、彩風咲奈の後を受け、トップ就任し、「愛の不時着」で夢白あやとのトップコンビお披露目。25年3月、「ROBIN THE HERO」「オーヴァチュア!」で本拠地、宝塚大劇場お披露目。身長169センチ。愛称「あーさ」「J」。
◆ポーの一族(脚本・演出、小池修一郎氏) 萩尾望都氏原作の漫画。永遠の時を生きるバンパネラの仲間に自ら加わった少年エドガーが、時空を超えて旅を続ける物語。小池氏が30年の構想の末に、18年に花組トップ明日海りお主演でミュージカル化を実現した。




