【シンガポール18日=近藤由美子】滝沢秀明(33)の主演舞台「滝沢歌舞伎 10th Anniversary」が、市内中心地にあるマリーナベイサンズ・グランドシアターで開幕した。セリフを必要としない演目を中心に構成。海外仕様のダイナミックなパフォーマンスと演出で観客を魅了した。

 客席上空に雪が舞う中、滝沢が華麗にフライングすると2200人で満員の客席から大歓声が上がった。最後に出演者全員で歌う「WITH LOVE」の場面。シンガポールの人たちに、当たり前ではない雪を味わってほしい。演出も手掛ける滝沢のアイデアで、日本から小型人工降雪機12台を船で輸送した。

 ジャニー喜多川氏が手掛ける作品の海外公演は今回が初めて。滝沢には座長のプライドとこだわりがあった。「ジャニーズのエンターテインメント、日本のエンターテインメントを詰め込んだショーにしたい。言葉で伝えるのは難しいので、パフォーマンスで伝えることを心掛けました」。

 「義経」では雨をステージに降らせるなど、ダイナミックな演出を連発した。セリフを必要としない演目を中心に構成し、「鼠小僧」など日本を意識した演目から、フライングなどジャニーズ得意のパフォーマンスも盛り込んだ。ナレーションや歌詞表示は英語だが、トーク時間はなし。滝沢がオーディションした現地の子供12人がダンサーとして登場。現地で親しまれる民謡「ラサ・サヤン」を一緒に踊った。

 苦労も少なくなかった。スタッフ半数はシンガポール人。「言葉の壁はありましたね。いつもより倍の時間がかかりました」。15日に現地に入り、2日間で集中的に稽古を行い、通し稽古は直前の1回だけ。「バタバタで。でもこれがジャニーズ。間に合わせるのがね」と余裕を見せた。

 6日間8公演で計1万7600席のチケットは完売。滝沢はナレーションで「I hope to perform in Singapore again(またシンガポール公演ができることを祈っています)」と再訪を誓った。「今後1人でも多くの人に見ていただきたい気持ちはあります」。

 最後は総立ちの拍手が起きた。「日本と違って新鮮なリアクションで、ものすごく手応えを感じました」。海外進出の第1歩を成功させ、確かな手応えを口にした。