上方落語協会の定期総会が22日午前、大阪市内で行われ、現職の桂文枝会長(72)が8期目へ入ることが正式に決まり、同日午後、文枝らが記者会見した。任期は2年。来月に誕生日を迎え、8期目の任期後には75歳になることから、文枝は「今回で(会長職は)最後にしたい」と、同時に勇退も宣言した。

 文枝は03年に6代目同協会会長に就任し、ここまで7期13年、会長職を務めており、歴代最長の在位となっている。

 「今回は(神戸繁昌亭へ向けて、神戸市などと協議を進める)新開地の問題もあったので、もう1期続けたいという思いでしたが、前々から75歳で(会長職勇退)の気持ちはあった」

 午前の総会でも、勇退の意向を伝えており、おおむね了承されている。以前から文枝には、会長職を次世代に譲り、上方落語のさらなる活性化をはかりたい意向はあった。

 ただ、文枝は会長として06年9月に、上方悲願でもあった戦後初の定席「天満天神繁昌亭」をオープンさせるなど、抜群の知名度を生かした活躍もあって、現在253人を数える同協会員が、選挙を経て文枝会長の続投を望んできた。

 文枝自身も後継候補の育成に時間が必要と感じ、会長職を続けてきた経緯があり、8期目で神戸繁昌亭の道筋が見えてくれば、そこが引き際と考えたようだ。

 その神戸繁昌亭については、新開地を候補地に、神戸市などと予算編成の交渉を進めている。ただ、若手からは運営不安を口にする意見もあり、今秋までに総会を開き「正式に神戸市に(予算編成を)お願いするかどうか決める」とした。

 また、文枝会長の勇退に備え、補佐する副会長を従来の2人から5人に増やし、責任の所在を明確にする改正も行った。

 副会長続投になる桂春之輔(67)は繁昌亭全般を、笑福亭鶴瓶(64)は広報宣伝を担当。新たに副会長に就いた仁鶴一門の笑福亭仁智(63)は企画戦略を、故桂米朝さんの長男、桂米団治(57)は若手育成を担い、もう1人の新任副会長は、文枝の弟弟子、桂きん枝(65)。きん枝は外部公演の責任を受け持ち、神戸繁昌亭へ向けての責任者的立場にも就いた。

 きん枝は「神戸繁昌亭は、神戸市の予算がからむ話ですから、やるとしても、短くても3年はかかる。より一層、いい条件で、実現へ向けて動いていきたい」と語った。

 この日は役員新体制のほかに、さまざまな上方落語活性化の案も出された。江戸落語にならい、午後9時半か同10時開演の遅い時間帯から始める「深夜寄席」も、議題に上っており、早ければ今年10月にもスタートしたいという。

 今年9月15日に開場10年を迎える天満天神繁昌亭では、客席のリニューアルを予定しており、9月上旬に工事に入り、10周年の際には、新しい客席を完成させることも決まった。