お笑いライブ「元祖爆笑王にはまりに行くライブvol.5」が、このほど都内で行われた。フジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」などで知られる放送作家の元祖爆笑王(52)と客の前で、お笑い芸人がネタを披露。爆笑王が公開で芸人に駄目出しをしていく。

 5回目の今回は、普段より大きな会場ということもあって、爆笑王を満足させる芸人の登場が期待されたが、前の4回と同じく、爆笑王に完全にはまった芸人はいなかった。爆笑王は「簡単にははまらない。俺が面白いと思ったらテレビに出られるようにしてやりたいけど、だからこそ厳しい。勢い、ネタ、さらに何かが必要」と芸人たちのさらなる精進を期待した。

 MCを担当したお笑いコンビ、マドンナはトップバッターで登場。ボケの松浦周作(33)が自転車の素晴らしさを褒めたたえ、ツッコミの石倉智喜(33)が話を進めていくうちに話が逆転。ネタのスピード感、ルックスは申し分ない。爆笑王の言う「さらに何か」をつかんだときにブレークの時が訪れるかもしれない。

 おじさんが着るポケットがたくさんついた「多機能ベスト」をネタにラップに乗せていじりまくるピン芸人の、ぶらっくさむらい(36)は、一番大きな拍手を浴びた。ノリも最高で、完成度も高い。後は、同じようなレベルのネタをどれだけ用意できるかがカギか。それさえできれば、R-1ぐらんぷりも狙えるかも。日本人の母親とカメルーン人の父親を持つハーフで、ちょっと見はイケメンの黒人だが、中身はバリバリの日本人で本名が武内剛というギャップをトークで生かせればジャンプアップの期待大だ。

 大阪から参戦のお笑いコンビ、ひこーき雲は「格安旅行」のネタ。佐藤(38)が淡々と繰り出す格安旅行の条件に、岡田(37)がツッコむ。ド派手なところはないが、安定した力を見せて笑いを取った。吉本でも松竹でもないところに、逸材が隠れているのは関西ならではだ。漫才協会からは、このライブのレギュラーと言っていい、おせつときょうた。「セミ」ネタでおせつ(33)ときょうた(30)。安定した力を見せた。

 一番大きな発見だったのが、お笑いコンビ、すっきりソング。元詩人の本田まさゆき(39)のメルへンチックなボケに、植田マコト(39)が次々とツッコんでいく。本田が発する意味不明の「ピシッ」というフレーズが、植田のツッコミが決まった時というのも斬新。いろいろあって、まだ結成2年というコンビだが、はまれば大ブレーク間違いなし。「まだ見ぬ強豪」を発見した思いだ。

 個人的に一番ウケたのは、ピン芸人のクラッシャースミダ(32)。「自分の性癖に素直に仮装した」と、ロン毛にグラサン、女物のパンティーを頭に被り、Tバック一丁で登場。放送作家である元祖爆笑王は「はまるも何も、最初から、こんなの放送できないじゃん」と突き放したが、ネタの構成には一応の評価を与えていた。江頭2:50からアキラ100%まで裸芸人、そして何よりバカ芸人を愛する記者にははまった。ちなみにバイトで日刊スポーツを配達しているという。

 そして、マリリンジョイ(33)。吉本に所属してTBS系「あらびき団」などで活躍した記憶があったが、いつの間にかフリーになって「キモトラマン」は確実に進化していた。パンツ一丁できわどいネタを勢いで繰り出してくる。テレビは絶対に見られない、最初から元祖爆笑王にはまろうなんて気は微塵(みじん)も持ってない姿勢に好感。ネタが終わった後の先輩芸人の「怖いネタ」というか、悪口も秀逸だった(笑い)。【小谷野俊哉】