「RUN FORWARD KANPEI みちのくマラソン」が12日、福島・富岡町からスタートした。

 お笑いタレント間寛平(68)がランナー、総監督を務め、東日本大震災の被災地に元気を届けるため、福島、宮城、岩手の東北3県をタレントランナーたちがたすきをつなぐ。今年4月末、ネット番組の生配信中に登っていた木から落ちて肋骨(ろっこつ)9本と左鎖骨を骨折した寛平だが、「東北の復興はまだまだ。今年も走りますよ、840キロ!」と笑顔で宣言した。

 震災時の津波による福島第1原発の事故から、富岡町は今年4月1日に一部が避難指定区域から解除された。震災前の1万5000人の人口が、現在は250人で主に役場近くの復興住宅で暮らしている。小雨が降る中、午前10時のスタート時間に、スーパー駐車場のスタート地点には約100人の住民が集まった。寛平は「こうして、帰って来られるようになっただけでありがたい。みんな帰って来られるように…アー・メー・マー」とギャグを飛ばして住民を励ました。

 寛平は第1走者を務め、約3キロ、国道6号線を進んだ。富岡町はさくらの名所で知られたが、復興は進まず震災で壊れた家屋など手つかずのところが多く残っている。歩道は草が生え放題で、やむなく車道側を走った。「道中を見てましたが、草や木が自由に生えすぎ。前はきれいな街やったと思うんです。そんなところでも手が足りないんやと思う。いろんなところで町の方はいまは暮らしておられると思うけど、早く帰って来てほしい」と話した。

 走り終わった昼すぎには、お笑いコンビ「女と男」らとともに復興住宅の集会所を訪れ、住民とのふれあいイベントも開いた。かつての住民は北海道~沖縄、海外まで避難したという。集まった住民約30人、ほとんどが70歳以上。住民の一人は「帰って来いと言いたいけど、それぞれ考え方があるから。でも住めば都だよ」と話した。

 寛平は「今回はここの町の人が多く暮らしている会津の方にも足を延ばさせてもらいます」と、現在の富岡町の様子も伝えるつもりだ。骨折については「もう痛みもなくなった」と全快。寛平は、この日はゴール地点のいわき市でも約6キロを走行。24日の岩手・宮古市のゴールまで、ずっと東北3県に滞在して、毎日数キロを走るほか、各地の復興住宅、仮設住宅を訪問してふれあいイベントを開く。