「ドラゴン桜」や「インベスターZ」などの作品で知られる漫画家の三田紀房氏に対して、アシスタントとしての残業代を請求することを宣言した漫画家のカクイシシュンスケ氏が、同件にコメントした漫画家の佐藤秀峰氏に対し激しく反論した。

 三田氏のもとでアシスタントとして11年7カ月働いていたカクイシ氏が7日、三田氏に対して未払いの残業代を請求することを宣言した。これに対し佐藤氏は8日、アシスタントとして雇用される側と、アシスタントを雇用する側の両方を経験した立場として、この件についてブログで言及。雇用者側と被雇用者側の両方をおもんぱかり、「どうしたらいいんでしょうね? こんな業界一回滅べばいいんだろうな、と思います」とつづった。

 また、カクイシ氏が「立場が強いのはマンガ家の方なんだからアシスタントがインセンティブをよこせと言ってくるはずがない、言ってきたとしてもどうとでも言いくるめられる」ため、外注には支払われるインセンティブがアシスタントに支払われないことに疑問を投げかけたことに対し、佐藤氏ははっきりと否定。自身も「ブラックジャックによろしく」がヒットした際に似たようなことを言われた経験があるとした上で、「この主張は明確に間違っています」と断言した。印税をスタッフに支払う義務はなく、「印税が欲しいのであれば、株を取得して経営に参加するしかないでしょう。その場合、収支が赤字になれば報酬が無いばかりか、借金を背負うことになります」とつづっていた。

 これらの佐藤氏のコメントに対し、カクイシ氏が8日にツイッターで反論。「『印税が欲しいのであれば、役員となって経営に参加するしかないでしょう』?? マンガ家がアシスタントに印税を支払う義務がないなんてことは百も承知で書いてんですよ! 印税まで取れるなんて思ってませんよ!でも納得はできないから書いたんですよ!」と思いを明かした。

 カクイシ氏は、「できることからやるしかないから法律に則って残業代請求したんでしょうが!『どうしたらいいんでしょうね?』?? お願いしますよ、先輩…。マンガ家も今後はアシスタントに対して労働基準法に則って働いてもらわなければいけない、くらいのこと力強く言えませんかね…」と佐藤氏に失望を隠さない。そして「なんなわけ、このマンガ家側の冷静に俯瞰してみました感は…。感情あるのかよ」と批判した。