「世界陸上」のキャスターなどで、熱血エピソードに欠くことのない織田裕二(50)が、またもや“伝説”を作った。

 イメージにドンピシャの正義感あふれる熱血銀行員を演じるWOWOW主演ドラマ「連続ドラマW 監査役 野崎修平」(14日スタート、日曜午後10時)の完成披露試写会が12日、都内で行われた。織田は、共演の松嶋菜々子、岸谷五朗、古谷一行、権野元監督と舞台あいさつに登壇した。

 ドラマの舞台は、バブル崩壊からの金融ビッグバンに直面していた90年代末の銀行。熱い正義感と人情、冷静な判断力を持った銀行の監査役を演じた。「この役が決まってから、周囲の人たちに、ピッタリの役だねって言われるんです。僕ってこんなマジメなイメージですか?」と観客に尋ねると、同意された拍手が起きた。「ストレートをどんどん投げる感じで、全8話までやって肩が壊れるくらいで、途中で顔面崩壊しちゃっています。精根尽き果てるまで、生まれてからここまでないってぐらいにさけびました。目をガッと見開いて演じさせていただきました」と、熱血漢が長い役者人生でも1番と言っていいほどに熱い役を演じたと話した。

 すると権野元監督が、織田らしいエピソードを切り出した。「織田さんって、いつも1人でテスト(リハーサル)を始めちゃうんですよ。撮影現場で、急に熱いセリフを言い出すんです。僕らスタッフは思わず止まって見てしまって…。それが終わってから、あらためて、ここからもう1回本当のテストをって、すごく言いづらくって(笑い)」。

 織田が「えーっ? そうでしたっけ?」と驚くと、権野監督は「松嶋さんや岸谷さんは、毎回それにちゃんと付き合われていたんですよ」と続けた。ニヤリと笑った岸谷は「1人でけいこされるにしては、声がでかいんですよ。だから、みんなも付き合ってしまって(苦笑い)。途中からは、僕は『あっ、始まったぞ、織田裕二始まったぞー』って、こっそりその場からはけるようになりました」と、会場を爆笑させた。

 織田が「えーっ? いや、それはいつも頭取(古谷)が始められたんですよ」と弁明したが、その古谷からも「織田君、あったね。そういうのあったね」と切り返され、権野監督からは「8割方、織田さんでした」と言われた。

 さすがの織田も「あっ、そうか、だから毎回すごく疲れたんだ…。反省します」と苦笑いで、そのエピソードを認めた。

 ただ、そうそうたる実力派の役者たちが、それほどまでに全力を注いだドラマだけに、デキには自信がある。「日々、素晴らしいチームだと思いながら、撮影できました。皆さんから、また見たい、もっと見たいとの声が上がるとうれしいです。僕も始まることにドキドキです」と、織田は最後まで目を輝かせてPRしていた。