女子レスリングで五輪4連覇を果たし、国民栄誉賞も贈られた伊調馨が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長からパワーハラスメントを繰り返し受けたとして、レスリング関係者が代理人弁護士を通じ告発した問題について、フリーアナウンサーの小倉智昭が「どこかで圧力が掛かってるのかって思わざるを得ない」と私見を述べた。

 1日放送のフジテレビ系「とくダネ!」は、伊調側が内閣府の公益認定等委員会に告発状を出した問題を取り上げた。告発状によると、伊調は2004年のアテネ五輪と08年の北京五輪を連覇した後、指導を受けていた栄氏の意に反して、練習拠点を愛知県から東京都へ移動。それをきっかけに、伊調への嫌がらせが始まったとしている。16年のリオデジャネイロ五輪の直前も、伊調が練習場所としていた警視庁の施設に出入りできないよう圧力をかけるなど、パワハラを繰り返したと主張している。一方、栄氏は告発内容を否定。反論コメントも放送した。

 コメンテーターを務める国際政治学者の三浦瑠麗氏は、「明らかにコーチが彼女を育てていることは間違いないんだけれども、やっぱりコーチといっても人間だし万能ではないので、弟子が本当に大きくなったときに、自分の手の届かないところに行って独自に考えて行動して練習はこれがいいっていう話になると、師弟関係でうまく手放せないとこういうことになる」と伊調と栄氏の関係がこじれた原因について指摘。「問題なのは、その師弟関係と協会という村社会の中でかなりの決定権や権力を持ってしまっている立場であるということが、ひょっとすると栄さんの中で混同されちゃってる部分があるかもしれませんね」と推測した。

 小倉は「伊調さんのことじゃなくて、選手として思いがちなのは、良い時はコーチのおかげ、悪くなったときも、本当はかなり自分のせいもあるんだけど、コーチの指導が最近変わったんじゃないかとかって、二人三脚でやってるとそういうふうに思いがち」と選手側の心理を推察。その一方で伊調の練習場所の問題に「オリンピック3連覇4連覇の選手が『マット貸してください』『一緒に練習させてください』って言ったら、受け入れる方はたぶん『どうぞ』って喜んで練習させてくれるのが普通だと思う」だとし、「だから今、練習場がないっていうのはちょっと、どこかで圧力が掛かってるのかって思わざるを得ない」と述べた。