歌舞伎俳優中村七之助(34)が13日、都内で、渋谷・コクーン歌舞伎「切られの与三」(5月9~31日、Bunkamuraシアターコクーン)の制作発表会見を行った。

 コクーン歌舞伎は父中村勘三郎さんが94年に立ち上げ、今回第16弾。七之助は「父が残してくれた宝物の1つ」と感慨を語った。

 七之助は普段は女形を中心に演じているが、今回は立役で与三郎を演じる。「手探りで不慣れ。今のところ自信はないけど、いいものをお届けできれば」。

 「与話情浮名横櫛」に新解釈を加えた作品。与三郎を演じるにあたり、七之助は「今回、この役が公になった時、楽屋に飛び込んできたのは、現(松本)幸四郎のお兄さんと、(片岡)愛之助のお兄さんでした。聞いてもいないのに『傷はこう描くんだよ』と教えてくれたり。やはり立役の方からしてみると、やりたい役なんだと思います。先人たちの残してくれた思いをはらにしまってやらなきゃいけない」と、覚悟を語った。

 相手役お富は中村梅枝。演出は串田和美氏、木ノ下歌舞伎を主宰する木ノ下裕一氏が補綴(ほてつ)に加わる。