嵐・二宮和也(34)主演のTBS系日曜劇場「ブラックペアン」(日曜午後9時。初回は25分拡大)が22日、スタートする。二宮のほか17年10月期の日曜劇場「陸王」で人気を不動のものとした竹内涼真(24)、NHK連続テレビ小説「わろてんか」後、初ドラマ出演となる葵わかな(19)ら人気俳優が勢ぞろいの今季注目のドラマだ。16日に都内で行われた試写会で第1話を一足先に見た記者が、見どころを紹介する。【村上幸将】

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 二宮は、対抗する国立大医学部との戦い、製薬会社、医療機器メーカー、厚生労働省との癒着問題や不正が渦巻く東城大学医学部付属病院の中で、手術の腕1つで一匹狼を貫く尖った医師・渡海征司郎を演じる。二宮が試写会の最後に振るった熱弁を聞いていて「ブラックペアン」というドラマの本質が何なのかを突きつけられた思いだった。

 二宮 見て感じてもらいたいのは「テレビドラマって、すごいだろ」ということ。僕らも、プライドを持って作らせてもらっています。映画も舞台もすごいけれど、やっぱりテレビって、まだ力はあって、作りたいから一流の人(俳優)やスタッフが集まって、一流の歌い手さん、生み出す作家さんがいて。映像化する時、こんなに時間はかかるんだけど、それを日曜夜9時にみんながチャンネルを合わせたら、みんなに届くのが僕はテレビの力だと信じています。

 その言葉に偽りなし、と思えるのが、劇中に登場する手術シーンだ。内野聖陽(49)演じる“神の手”を持つと言われる心臓外科の権威・佐伯清剛教授を中心に、心臓手術のシーンが何度も描かれる。手術中に動く心臓、飛ぶ血しぶきの迫力と緊迫感、そして二宮演じる渡海の手術中の手さばきに驚かされた。試写を見ていて、実際の手術と同じ環境下で、手術と同じくらい長い時間をかけて撮ったシーンであろうことは容易に想像できた。

 二宮が「今回(の撮影)は本当につらい」と吐露すると、医療ジャーナル誌編集長役の加藤浩次(48)が「手術シーン、10時間くらいかかってるんでしょ? それを5分とかに短く(編集)して、あの緊迫感になっていると聞いてビックリした」と撮影の舞台裏を明かした。

 また、手術シーンでは衣装が重いという。二宮によると、劇中に登場する最新医療機器「スナイプ」の放射線を防護する防護服を着用するという設定のため、手術着の下に厚手の服をさらに着て演技をしているという。「(防護服が)重たいんですよ。軽いのが3着しかないから、なるべくみんな早く着る。それだけリアルにやっています」と苦笑交じりで振り返った。

 試写で、もう1つ強烈に印象に残ったのが“目”だ。二宮演じる渡海は、手術成功率100%という卓越した手術の腕を持つ一方で出世に興味はなく、嫉妬が渦巻く大学病院の中で周囲とは群れず、万年ヒラの医局員を務め続ける孤高の天才外科医だ。手術中に患者の容体が急変し、危機に陥った技術のない執刀医に、金を要求して手術を請け負うなどやりたい放題で“オペ室の悪魔”と呼ばれる。

 いつも斜に構える渡海が周囲に向ける視線は挑発的か、関心を示していないことが明らかな無味乾燥なものだ。その視線が、第1話の中でも何度か、わずかながら変わる瞬間がある。そこに、渡海の心情の変化が見て取れる。竹内演じる1年目の若手研修医・世良雅志をはじめ、周囲を「邪魔」の一言でぶった切る渡海は、さわやかな役どころが多い二宮にとってチャレンジングな役どころだろうが、その中で、目で見せる二宮の演技に注目だ。

 手術のシーンが多く、目がクローズアップされる場面も多いが、二宮以外のキャストの目も印象的だ。第1話の冒頭に出てくる目は、ファンならたまらないだろう。放送開始の瞬間から、見逃してはいけない。

 TBS系日曜劇場は、役所広司が主演した17年10月期の「陸王」が全話平均16・0%、最終回は20・5%、嵐・松本潤が主演した1月期の「99.9-刑事専門弁護士-SEASON2」が全話平均17・4%、3月18日の最終回は21・0%と、続けて高視聴率を記録した。「ブラックペアン」も、医療用語は随所に出てくるものの、人間ドラマの側面もしっかり描かれ、エンターテインメントとして楽しめるものになっている。前2作をも超えるか、注目だ。