14年前の「誰も知らない」で鮮烈な映画デビューを果たした柳楽優弥(28)が、同作の是枝裕和監督(55)の愛弟子、広瀬奈々子監督(30)初メガホンの「夜明け」(来年公開)に主演することが10日、分かった。

 広瀬監督は是枝監督の元で6年間、監督助手を務めてきた。柳楽は「初めてお会いした時からうそのない目をしていて、この人についていこうと思える心強い監督」とし、共演の小林薫(66)も「頭の中にしっかり出来上がったものがあったんでしょう。ブレずに指示していた」と感心した。広瀬監督も「柳楽さんとは互いに納得するまで対話を重ね、小林さんにはせりふの間から美術にいたるまでアイデアをいただいた。新人監督として幸せな経験」と感謝した。

 柳楽は04年カンヌ映画祭に選出された「誰も-」で、同映画祭史上最年少の男優賞を受賞。広瀬監督は当時柳楽に感じた、繊細だが生命力がある部分を出したいと思ったという。現在カンヌ映画祭が開催中で、偶然にも、是枝監督の「万引き家族」や、柳楽出演の短編が選出されている。カンヌの縁が「夜明け」につながっている。

 近年、突き抜けた役柄が多かった柳楽だが、同作では秘密を抱えた青年シンイチ役。静かで思いを内に秘めた表情が魅力的だ。小林演じる木工所を営む哲郎と出会い、信頼を寄せ合う物語で、今年1月に千葉県で撮影された。柳楽は「久しぶりに、人と人とのつながりに重きをおいた作品に参加しました。共演者の方々と、役柄のような距離感で過ごせて支えられました」と振り返った。小林とは、昨年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で1年近く一緒だったため、息もぴったりだった。