俳優鈴木亮平が主演するNHK大河ドラマ「西郷どん」が21日の放送から明治編に入ります。これまで視聴率的には低迷気味ですが、先日、21日放送分の試写を見て、家族の絆がしっかり描かれていることから今後に期待が持てました。

最も注目したのは、西郷隆盛の2番目の妻愛加那(二階堂ふみ)と3番目の妻糸(黒木華)が対面する場面。愛加那が住む奄美大島に糸が出向き、隆盛と愛加那の間に生まれた息子の菊次郎を引き取りに行きます。

2人が真正面に向き合って話す場面は、演じる妻として、また、女優としての魂のぶつかり合いから生じるような熱を感じます。隆盛の心中を察すると自分が愛した女性2人が向き合う場所に居合わせたくないでしょう。

当然、演じる鈴木も同様のようです。先日、NHKで行われた会見では、「2人のいる場所で僕はどういう顔をしたらいいか分からないので、スタッフに何とか会わないでいたいと言い、スタッフ総出で絶対に会わないようにしてくれました。なかなか、あの2人に緊張感の中に僕がいると女優さんもやりにくいし。人生って複雑です」と語っていました。

さらに鈴木は、スタジオの前室に、ロケで撮ったみんなの思い出の写真がたくさんはってあると紹介。何を言い出すのかと思っていると「革命編になってから糸さん中心の写真構成なんです。2人の撮影の日に、これはまずいと、愛加那と糸さん、どっちが上でも下でもないようにバランス良くしようと、30分かけて写真をスタッフと並び替えました」。

西郷隆盛として生きる鈴木の気苦労も相当のようです。そんな家族をテーマに描く場面には、混沌(こんとん)として分かりにくい幕末の激しい動きとは違い、視聴者も物語に入り込みやすいはず。少なくとも21日の放送は視聴率の上昇が期待できそうです。