第91回アカデミー賞授賞式が24日、ハリウッドのドルビー劇場で開催され、「ボヘミアン・ラプソディ」がラミ・マレックの主演男優賞をはじめ、編集賞、録音賞、音響編集賞の最多4冠に輝いた。

30年ぶりの司会者不在となった今年の授賞式は、「ボヘミアン-」で世界中から注目が集まるクイーンがオープニングに登場し、生パフォーマンスを披露。

アダム・ランバート+クイーンが「ウィー・ウィル・ロック・ユー」と「伝説のチャンピオン」の2曲を熱唱し、ラストはスクリーンに映画の主人公となった故フレディ・マーキュリーの映像も登場すると会場はスタンディングオベーションに。マレックやレディ-・ガガ始め会場のセレブたちも総立ちとなる盛り上がりで批判続きだった授賞式に華を添えた。

マーキュリーを完コピして主演男優賞に輝いたマレックは、私生活でも交際中の恋人役を演じたルーシー・ボイントンからキスの祝福を受け、「ゲイで移民でそして人生を自分らしく生きたい人の映画です。私もエジプトからの移民一世です。これは私自身の映画。生涯、ずっと大切にしていきます」とスピーチ。

作品賞、主演男優、主演女優など8部門にノミネートされていた「アリー/スター誕生」からは、映画初主演となったレディー・ガガが劇中で監督と主演を兼任したブラッドリー・クーパーとデュエットした主題歌「シャロウ~『アリー/スター誕生』愛のうた」で歌曲賞を受賞した。初のオスカーを手にしたガガは、「長年頑張ってきた努力の成果です。勝つことが全てではありません。諦めないことが大切」と涙ながらにスピーチ。「私を信じてくれてありがとう」と感謝を述べたクーパーと共にまるで劇中のワンシーンのような息のぴったり合ったデュエットも披露した。ガガは主演女優賞にもノミネートされていたが、「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマンが受賞した。

今年の授賞式は司会者の代わりにスターたちが持ち回りでプレゼンテーターとして登場して結果を発表する至ってシンプルな進行となったが、大きなトラブルもなく、スムーズな授賞式となった。うわさされた「アベンジャーズ」のキャストの大集合など目玉はなかったものの、SNS上では「過去最高の授賞式」との声も多く、授賞式前のさまざまな批判から一転して一般のファンからは好意的に受け止められたようだ。ちなみに作品賞は、人種差別が色濃く残る60年代の米南部を舞台に黒人ピアニストと差別的な思考を持つ用心棒の交流を描いた「グリーン・ブック」が受賞。最多10部門にノミネートされていたネットフリックス配信の「ROMA/ローマ」は、アルフォンソ・キュアロン監督が監督賞と撮影賞をW受賞した他、外国語映画賞に輝く3冠となった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)