映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督(35)が、同作で助監督だった中泉裕矢氏(39)、スチール担当だった浅沼直也氏(34)と共同監督&脚本を務めた新作映画のタイトルが「イソップの思うツボ」(今夏公開)に決まった。11日に配給のアスミック・エースが発表した。

撮影は18年にわずか9日間で終了し、編集などのポストプロダクション(ポスプロ)が行われている。ただ、作品のカギを握る重要なキーワード「三角関係」、「復讐(ふくしゅう)」、「カメ」の3つと、ガラス製とみられる透明な洗面器の中にいるカメが写った写真以外、キャストやストーリーなど詳細はベールに包まれたままだった。

タイトル発表に際し、3監督が勢ぞろいした動画が公開された。

上田 僕たちですね、3人が共同監督を務めました新作映画のタイトルが、つい先ほど…本当に、もう30分ほど前ですね、最終確定いたしました! はい…本作のタイトルは、こちら!

3人 「イソップの思うツボ」です!

中泉 既にね、発表している「三角関係」、「復讐」、「カメ」のキーワード…そしてタイトルから、皆さんはどのような内容を想像するでしょうか?

浅沼 まだまだ謎でいっぱいの本作、今後、徐々に明らかになっていきますので続報をお待ち下さい!

3人はあいさつの後、まるで新元号「令和」が発表された時のように、直筆文字で作品タイトルを書いた色紙を掲げた。文字のうち「イソップの」を浅沼監督、「思う」を上田監督、「ツボ」を中泉監督が、それぞれ思いを込めて作品同様、共同作業で書き上げた。

「カメ止め」は、わずか300万円で製作され、都内2館で公開後“ネタバレ厳禁”の言葉がインターネット上で飛び交って火が付き、全国375館での拡大公開、224万人動員、興行収入31億円突破と社会的なムーブメントを巻き起こした。

中泉氏は「カメ止め」初のスピンオフとしてインターネットテレビ局AbemaTVで放送されたドラマ「カメラを止めるな! スピンオフ ハリウッド大作戦!」の監督を務めた。映画監督としては11年の「円罪」で監督デビューし、14年の「母との旅」「エンドロールを撮りに」が国内の映画祭で評価された。今年は監督最新作「君がまた走り出すとき」が公開された。浅沼氏は監督作「冬が燃えたら」が、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017で短編部門最優秀作品賞を受賞した。

3人は15年のオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」で、各話の監督を担当した間柄だ。それだけに「イソップの思うツボ」では息の合った共同監督ぶりを見せたが、一方でそれぞれの特徴を生かして演出された。「カメ止め」が巻き起こした社会的ムーブメントの再現なるか、注目だ。

新作は、埼玉県川口市に2003年にオープンした、映像関連産業を核とした次世代産業の導入・集積を図るSKIPシティの中核施設「彩の国ビジュアルプラザ」の支援を受けて製作された。