1969年(昭44)10月5日から放送50年を迎えたフジテレビ系アニメ50周年特別企画「サザエさん展 THE REAL」が、27日から東京・台場のフジテレビ本社球体展望室「はちたま」で開催される。

最大の見どころは「リアルサザエさん」。サザエさん一家の顔の形、目、耳、鼻、口を特殊メークで等身大でリアルに再現する。映画「シン・ゴジラ」の造形、マツコ・デラックスのアンドロイド「マツコ・ロイド」、CMでダウンタウン松本人志が扮(ふん)する「バイトの神様」のキャラクター作りなどを担当した特殊メークアーティスト、Amazing JIRO氏率いるクリエーター集団「自由廊」が、1本ずつ植え込まれた髪の毛、毛穴やシワまでリアルに再現した。

このほど、日刊スポーツの取材に応じたJIRO氏は、リアルに再現されたサザエさん一家を「違和感はあると思います。2D(二次元)で楽しめているものを、3D(三次元)に起こしたんですから、リアル化は難しかったですね。見てもらう人の印象を、なるべく壊さないように作りましたが、初めての方は衝撃を受けるでしょう。まぁ、それが狙いでもあるんですけど。『怖い!』という反応が多いですね」と言う。

「ただ、僕らにとっては、怖いというのは好印象。期待していた答えでもあります。その存在よりもリアリティーの度合いが増したからこその怖さですから。サザエさんに毛穴があるなんて、誰も想像したことがなかったでしょう。それを追求したからこその怖さなんです」と話している。

きっかけは、フジテレビ系の深夜バラエティー「プレミアの巣窟」(月曜深夜2時5分)からの「サザエさんを3Dにしてほしい」という依頼だった。JIRO氏は「2Dのアニメを3Dにするということを、それまでもいろいろやってました。サザエさんもやりたいとずっと思ってました。ただ、ゲームキャラの3D化はやったことがあったけど、サザエさんの2Dは簡素で比率も違うので、大きなトライでした」と振り返る。

日本中で、知らない人はいないサザエさん一家。JIRO氏は「一家の人それぞれの個性があって、それがファミリーを築いている。ファンタジックなキャラクターじゃないのに、キャラはすごく立っている。みんなが共通で持っているイメージを崩すわけにいかないので難しかったです」と振り返る。「あとサザエさん一家は朗らかなキャラクターなので、笑っている顔を作ろうと思ったですが、アニメには歯が描かれてないんです」と言う。

日本を代表する特殊メークアーティストのJIRO氏は、元々は多摩美術大でガラス工芸を学んでいたが、東京芸大に転じて彫金を学んでいた。特殊メークを始めたのは「ガラス、金属と素材に縛られて、物を作り続けるのに疑問を持って、何でも扱いたいと思ったんです」。東京芸大を卒業後に、代々木アニメーション学院で特殊メークを学びなおした。「日本には、なかなか特殊メークを教えてくれるところがないんです。後進を育てるために、今はスクールもやっています。新しい特殊メーク、造形の技術を知ってほしいですね」と話している。

今、リアルに作ってみたい人は、ラグビー日本代表の主将、リーチマイケル(30)。「タックルに行く寸前の姿を作ってみたいですね。前に立ったら迫力を体験できるような」と創作意欲を語った。