現地時間19日夕方にロサンゼルス(LA)郡により、全ての住民に対して不要不急の外出を控える「自宅待機命令」が発令された。

これにより、同日深夜11時59時から4月19日まで、生活に必要な食料品や日用品、医薬品を購入したり、病院や銀行に行く場合を除いて外出を控え、自宅にとどまることが求められる。屋外での散歩や自然の中での運動は認められるが、他の人と6フィート(約1.8m)距離を開けることや、プライベートであっても10人以上の集まりを禁じることなどが盛り込まれている。新型コロナウイルスの感染者が急増するカリフォルニア州内では、このままの状況が続くと今後8週間で人口の56%に当たる2550万人が感染するとのデーターが示されたことが発端だが、危機感が増したここ数日で街の様子が一変した。緊急事態に陥ったLAの現状を2回に渡って紹介する。

13日にドナルド・トランプ米大統領が国家非常事態を宣言して以降、外出禁止令が出ることを恐れた人々のパニックによる食料品や医薬品の買い占めが起き、深刻な物資不足が続く中、17日にはLA市内の全ての飲食店やバー、娯楽施設、映画館、スポーツジムの閉鎖が命じられた。飲食店はドライブスルーと宅配、持ち帰りのみ営業は認められたが、わずか1日で街から人と車が消えた。

ハリウッドセレブも多く住むビバリーヒルズ市は、食料品と医薬品以外の全ての店舗の閉鎖を要請し、高級ブランド店が軒を連ねるロデオ・ドライブはゴーストタウンと化した。また、ハリウッドにあるスターの手形と足型で知られるチャイニーズ・シアターもフェンスで囲われ中に入れなくなり、行き場のない観光客が戸惑っていた。そんな中で発令された事実上のロックダウンとなる自宅待機命令で、経済活動にさらなる影響が及ぶことは必至だ。【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】