世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)の事務局は28日(日本時間29日)新型コロナウイルスの感染拡大の影響で12日から23日の通常開催を見送った、第73回映画祭の公式ラインアップを6月3日午後6時(同深夜1時)に発表することを明らかにした。

発表されるラインアップは、映画祭が通常開催されていた場合は、招待した作品だという。選ばれた作品は「カンヌレーベル」として、他の映画祭での招待上映や商業上映の際に、カンヌ映画祭が承認したことを証明するスタンプをつけることが認められるという。

米紙「バラエティー」電子版は28日、「カンヌレーベル」について、カンヌ映画祭のティエリー・フレモー総代表と選考委員会が約50作品を選ぶと報じた。その上で、米国のウェス・アンダーソン監督の「フレンチ・ディスパッチ」、デンマークのマス・ヴィンターベア監督の新作「アナザーラウンド」、そして河瀬直美監督の新作「朝が来る」が、「カンヌレーベル」を獲得する最有力作品だと報じた。

「バラエティー」は、「カンヌレーベル」が、選ばれた作品や監督に最終的に何をもたらすかは分からないとした。その上で、前回19年のカンヌ映画祭で韓国映画史上初めて最高賞パルムドールを受賞した、ポン・ジュノ監督の「パラサイト 半地下の家族」が、第92回アカデミー賞で外国語映画として史上初の作品賞をはじめ監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)も合わせ、最多4冠に輝いたことを紹介。「カンヌ映画祭は、世界中のアート系映画にとって強力なスタート地点である」とも報じた。

また同紙は「カンヌレーベル」に選ばれた映画が、トロント映画祭(カナダ)、サン・セバスチャン映画祭(スペイン)など、他の国際映画祭に招待される可能性が高いとも報じた。

一方で、カンヌ映画祭と同じく世界3大映画祭の1つで例年、9月に開催されるベネチア映画祭(イタリア)は、カンヌレーベルを考慮せず独自に良質な作品を選んでいくだろうと報じた。その上で、イタリアのナンニ・モレッティ監督の「トレ・ピアニ」と、女優としても知られるフランスのマイウェン監督の「DNA」が有力と報じた。