ジャズ・バイオリニスト牧山純子(46)が大阪市内で日刊スポーツの取材に応じ、新アルバム「アレグリア」と、延期となっていた大阪でのリリースライブをPRした。

昨年11月にロサンゼルス(L.A.)のスタジオで録音した新作のタイトルの意味は「歓喜」。新型コロナの影響で、お披露目ライブが延期され、ここまで約1年を要したが、ようやく来年1月7日にビルボードライブ大阪で生演奏される。レコード会社移籍第1弾で本人も「新たな挑戦」と意気込む「ニュープロジェクト」が“歓喜”の中で幕を開ける。

昨秋、L.A.スタジオには多国籍なサポートメンバーがそろった。「フロントの私はただ彼らの演奏とグルーブに体を委ねて、自分が心地よいと感じる音楽を重ねました」というように、一流アーティストに囲まれ、牧山自身の内面を自由に表現した。

牧山はクラシックとジャズの壁を取り払い演奏する独自のスタイルが特徴だ。ジャズとの出合いは、映画「シンドラーのリスト」の演奏も行ったバイオリニストのイツァーク・パールマンのCDでジャズのスタンダードナンバー「ミスティ」を聞いた時だという。「日本でバイオリンと聞くと、クラシックをイメージする人が多い。でももっと自由な表現ができることに気付いた」。

米バークリー音大では、小曽根真氏に師事。上原ひろみとの共演をはじめ、由紀さおりや小林幸子、T-ボランの森友嵐士から小澤征爾まで、ジャンルを超えた音楽家との交流が牧山の表現を磨いた。17年にリリースしたアルバム「ルチア~スロベニア組曲」では、ジャズ・バイオリニストとして独自の地位を築いた。

新アルバムもその流れを受け、ジャジーでポップな仕上がりを見せている。70年代の米西海岸の音楽を代表するイーグルス「ホテル・カリフォルニア」や「デスペラード」のカバーを収録。誰もが知る名曲をエレクトリック・バイオリンで演奏。オリジナルではギターで「かき鳴らす音」が印象的だが、バイオリンでは「弾く音」となり、細かなフレーズが異なる。逡巡(しゅんじゅん)しながら何度も演奏したというが、確かに新しい表現が生まれている。

他にも、世界で流行中のローファイ・ヒップホップ(意図的にヨレたリズム)を取り入れた「スコッチ・ミスト」や、80年代に米国のラジオ局で人気を集めた「スムースジャズ」のサウンドなど、新作のテーマ「L.Aの風」を感じることができる。

デビュー以来、年間100ステージをこなす生活を10年以上続けてきた。しかし今年、コロナ禍でセッションもできない日々が続いた。「もうすぐ今年も終わりますが、本当に実感がない」。だが逆にライブ愛を再認識できた期間だと感じている。「コンサートはお客さんと一緒に作るもの。エネルギーの交流を肌で感じるような、体の中から元気になるセッションがしたい」。牧山の熱情が演奏とともに放出される。

ビルボードライブ大阪でのリリースライブは、ゲストにShihoを迎える。コロナ対策を徹底して開催。詳細は公式サイト(http://www.junkomakiyama.com/)を参照。