俳優中尾明慶(32)が、フジテレビ系「十三代目市川團十郎白猿襲名記念ドラマ特別企画『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』」(3月26日午後9時)で、木下藤吉郎役を演じる。

物語は今川義元の大軍を数的にはるかに劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇とうたわれ、織田信長(市川海老蔵=43)を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦、桶狭間の戦いを題材とする。藤吉郎は信長の家臣で、後に豊臣秀吉となり天下を治める。

中尾は「とにかくやらせてください、その思いだけでした。豊臣秀吉となると…もしかしたら僕ではなかったかもしれませんが、あくまで木下藤吉郎ですからね。たくさんの想像を膨らませて、のちの秀吉という期待感も持ちながら、全力で演じたいと思いました。(信長と岳父の斎藤道三を結び付ける堀田道空役の)竹中(直人=62)さんは『軍師官兵衛』でもご一緒させていただきましたが、今回久しぶりに会うことをとても楽しみにしてくださっていたと聞いて、とてもうれしかったです」。

藤吉郎を演じて「今回、藤吉郎を演じることができたということがすごくうれしいですし、そこに声をかけていただけたということは、僕の“人の懐に入るずるさ”がちょっとばれてしまったかなって(笑い)。とにかく偉大な人物ですからうれしかったです。演じてみて、改めてここから天下をとるまで上りつめたこの男はやっぱりすごいなあ、と感じました。本当に身分の低いところから始まって、僕だったら間違いなくその時点であきらめていると思います。セリフにも“商人で終わるつもりはない”ってあるんですけれど、そこから何とかして上りつめていく姿っていうのは格好いいなあって思います。そして信長の懐にも何とか入っていこうとするのですが、そこも基本的にはきっとすべて計算で、まずはこの殿の中で自分が上にいくことを考えて。そういう覚悟を決められるっていうのもすごいと思いますね」と話している。

主役の織田信長を演じる市川海老蔵(43)とは初共演。「海老蔵さんは本当に“殿”って感じです(笑い)。まさに信長を見ているようでした。一緒にお芝居をさせていただいて、僕が演じやすいようにというか、僕の演じたいことを分かってくださって、それを引き出してくださる。すごく相手のことを考えてくれているなって感じました。2人だけのシーンでも、そういうときにきちんと相手の引き出しを引っ張り出してくれて、すごく尊敬しています。海老蔵さんには、お食事にも誘っていただいて、すごくおいしいものをたくさん、ごちそうになりました(笑い)。僕のクランクアップの日も朝電話がきて“今日オールアップだけどすぐに帰るの?”って。“帰りますよ”って言ったら、“え? 帰っちゃうの?”って。そんなやりとりでした。僕の役が藤吉郎だし、そうやって2人の時間をつくってくださって、より演じやすいように考えてくださったのではないでしょうか」と振り返った。

堀田道空役の竹中直人も久しぶりの共演となった。「竹中さんとは、今までに何度かご一緒させていただいて。再会がうれしかったし“頑張ってね、~秀吉だね~”っていう声もかけていただいて。大先輩ですから、そこはもうとにかく一生懸命やろうってより一層思いました」。

今川義元役の三上博史(58)とは2度目の共演。「三上さんとは、前に一度NHKのドラマでご一緒させていただいたことがありますが、あこがれの先輩で。その時、いつかまたご一緒して勉強したいなって思っていたので、うれしかったです。三上さんにしかできないだろうなっていうくらい、三上さんならではの今川義元がそこにいて、義元がすごく輝いていました。他にも、僕は今回共演シーンはなかったですが、佐藤浩市さんをはじめとして豪華なキャストの方ばかりで。本当にすごいドラマに自分が出させていただいて、そんなところで俺、藤吉郎なんてというプレッシャーはありましたけれど、ニコニコして切り抜けようって思っていましたね(笑い)」と話した。

桶狭間の戦いの合戦シーンについては「京都の殺陣のチームの皆さんは、素晴らしい方々がそろっているので、絶対にいいシーンが撮れると(リハーサルの時から)思っていましたし、実際にすごく迫力のあるシーンが撮れたと思っています。最近なかなか時代劇を見る機会も少なくなってしまってきていますし、この戦国時代では合戦がどうしてもフィーチャーされると思うんですけれど、そこにはやはり命をかけて戦ってきた人たちのいろんな葛藤があって。たくさんの人間ドラマがある中で、1人1人がそれぞれの思いを背負って戦う姿はぜひ見てほしいなって思いますね。そんな中で僕がどんな藤吉郎を演じているかも見てほしいなって思うし(笑い)。本当に多くの人に見てほしいです。僕が出させていただいて、こんなこと自分でいうのも何ですけれど、本当にすてきなドラマができたな、と思っています」と話した。