東大と吉本興業の「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」第1弾「オンライン特別講義シリーズ『東大吉本対話vol.1~言葉が世界を変える?』」が7日、東京・本郷の安田講堂からライブ配信された。ピース又吉直樹(40)と佐藤健二東大副学長が出席した。

安田講堂に現れた又吉は「こういうのは(桂)文枝師匠じゃなきゃダメでしょう」と言いながらも、「言葉で何かをできるかも知れない」と言葉の可能性を示した。

「僕らお笑い芸人でも、あったことをそのまま伝えるのは難しい。小学生、中学生の時は、面白かったことをうまく伝えられなかった。感動を、そのまま伝えなければいけない。エッセーとかでも現実と拮抗(きっこう)するか、超えなければならない。そのために言葉の工夫が必要だと思う。言葉はただの伝達手段じゃなくて、語ること書くことが何かを生み出す」と話した。

SNSを通じての言葉の暴力が社会問題になる中で、「想像力と優しさを持つべき。すぐに断定するのではなく、背景を考えて、批判するだけでなく楽しんでほしい。楽しむために想像力と優しさが必要。SNSは、いいものだと思うけど、僕らの子供の頃にSNSがなくてよかった。僕みたいな子は、中学時代にメチャクチャなことつぶやいていて、今頃見つかっていると思う(笑い)。ノートに書いていてよかった」と振り返った。

そして「響かなかった言葉」を聞かれると「コンビ組んだ時に(ピースの相方の)綾部(祐二)から『伝説の始まりや』と言われたこと。やばいやつと組んでしまったなと思いました」と明かした。

佐藤副学長は「書評を書く時とか、どう書いたらいいか分からない。ただ、ある世界に入り込むのは楽しい経験。楽しくなくては続けていけない。言葉は、もう一つの身体だと思う。言葉がないと考えられない。もう一つの脳でもある。言葉は皮膚であり、センサー。温かい言葉をもらったり、痛みを感じたりする」と話した。

対談を終えて、又吉は「すごく勉強になった。言葉が持っている、力そのものが広がって、立体的にとらえられた」。佐藤副学長は「どうなるかと思いましたが、無事に終わりました。東京大学と吉本という全くの違うものでしたが、又吉さんの個性もあってうまくいった」と話した。